再会 ページ13
EL▽
遠くでarmy達の話し声が聞こえる。
手の震えが止まらない。椅子から立つことすらできない。
＊
数年前のあの日。僕は海に飛び込んだ。
海は青くてどこまでも深くて、重力に伴って沈む体に合わせて苦しくなっていく息。
デビューが出来るとプロデューサーから告げられて、嬉しかったし望んでいたのは本当だ。
だけど、僕は
僕は恐ろしいほどの不安に襲われた。
デビューがしたかった。舞台で歌いたかった。そこに立つ大好きなヒョン達の姿がありありと想像できて、その隣に胸を張って立っていたかった。
簡単な話、僕は
ずっと自信がなかった。
ジミニヒョンやホソギヒョンみたいに踊れない。ナムジュニヒョンやユンギヒョンみたいにラップもできない。ジニヒョンやグクヒョンみたいな綺麗な顔と綺麗な声ではない。
このところずっとご飯も満足に食べられていなかった。食べても全部戻してしまう。
ヒョン達のことは好きだ。大好きだ。
徐々に暗くなっていく視界に、ぼんやりとヒョン達の声を聞いていた。
“A”
僕の名前。落ち着いた声で初めて優しく呼ばれて、何よりも驚いたことを思い出す。
あんなふうに呼んでくれるのはヒョンだけ。
ヒョンは僕の支えであり目標だ。
ヒョン達の幸せが僕の幸せ。
(ごめんね、ヒョン…)
だからこそ隣に立ってちゃいけない。
それこそが正解だと信じて、僕は湧き上がる
その直後暗闇に呑まれたのだった。
＊＊＊
まさか見つかるとは思わなかった。
プロデューサーから渡されたのは遠くの席だったし僕はマスクしてたし。なによりあんなたくさんのarmyの中から僕を見つけられるだなんて思わなかった。
…見つけてくれたのかな。
そう思うとひどく幸せになった。
あのあと目覚めたら白い部屋だった。病院だとそばにいたプロデューサーが教えてくれた。
漁師の方が溺れている僕を発見して助けてくれたのだという。
何年も待たせちゃったけど、許してくれるかな。
今はもう胸を張ってヒョンの隣に立てる。
たとえそこにたくさんの罵声が飛ばされようとも、僕にとって皆は“生きる理由”。
そこに近づけるのなら僕でも貪欲になる。
「(ヒョン、大好きだよ)」
＿＿＿＿もう離したくないから。
。
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白鳥彩(プロフ) - すごくおもしろいです！是非パスワードを教えてください。これからも応援していきます！ (2023年1月2日 13時) (
レス) id: 14f3399da6 (このIDを非表示/違反報告)
向日葵(プロフ) - すごく、おもしろいてす。是非パスワード教えてもらいたいです。これからも大援してます✨頑張ってください。 (2022年3月20日 15時) (レス) id: 94a9bcecb9 (このIDを非表示/違反報告)
キチ(プロフ) - パスワードを教えていただきたいです！ (2020年6月23日 23時) (レス) id: a660e3d78b (このIDを非表示/違反報告)
ふくちゃん - 最高の作品です！ぜひ続きをよろしくお願いいたします！！ (2019年2月13日 23時) (レス) id: caf3a9e48f (このIDを非表示/違反報告)
パボ(プロフ) - とてもいい作品でした…（泣）そして次の作品のパスワード教えていただいてもいいでしょうか？？ (2019年1月5日 8時) (レス) id: c5856a50f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おるか | 作成日時：2018年2月22日 22時
