不意に、胸を疼かせた ページ39
不意に、胸を疼かせた
李々が斗真と付き合い始めたと楽屋で聞いたとき、不意に胸が疼いた。
最近仲良くしてるってのは人伝いに聞いてたけど、付き合うことになったんやなとなんだかどこか他人事のようだった。
李々は俺が知ってる限りでは恋人はいなかったし、誰かに好意を寄せているって話も聞いたことがなかった。
だから、勝手に李々と恋愛を切り離して考えていたけど、やっぱり李々も女の子やったんやなと。
「そんで、斗真くんとはどう？うまくいってんの？」
久々に李々と二人で焼肉を食べにきたときにそう聞けば、李々は困ったように笑った。
「みんなそれ聞くよね。」
「李々に彼氏だなんて、大事件やろ。」
「失礼ね。今までだって、ちょっとは恋愛したことあるのに。」
「…嘘やろ。」
「彼氏は出来なかったけど、告白くらいされたことあるもん。」
そんな話聞いてへん。
「…何奴や。」
「まぁ、ね。」
「言えへんってことは嘘なんやろ。」
「嘘じゃないよ！」
そんな言い合いをしながら、焼肉を食べた帰り道、タクシーを拾って二人で乗り込むとほろ酔いの李々は俺の手を握ってきた。
「亮ちゃん。」
それにどきっとしたのは絶対言えない。
「亮ちゃんは気を遣わんよね。今までと同じように接してくれるやろ？」
久しぶりに李々の関西弁聞いたな、なんて頭の片隅で思いながら、俺は手を握り返した。
「当たり前やろ。」
李々に呼び出されたらどこだっていつだって行く。
俺の中で李々は1番だから。
じゃあ、俺は？李々の中で何番目？
俺は李々の中の1番になりたい。
李々が誰かと付き合ったとしても1番になりたい。
ー不意に、胸を疼かせた
(たぶん、好きやから。)
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亮ちゃんの少し歪んだ感情。
亮ちゃんは誰かと付き合うけど、李々が好きなことは変わりない。
亮ちゃんの中で1番は李々だから、その好きだって気持ちを裏切ってないと思ってる。
配布元::確かに恋だった
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作者名：しゃち | 作成日時：2016年10月26日 12時
