微熱 ページ40
微熱
李々は一人で頑張りすぎる癖があると思う。
ジャニーズという男だらけの集団の中に一人ぽつんと入れられて、たくさんの批判も罵言も一人で受け入れてきた。
俺たちと比じゃないほど苦労してきたと思うし、それでも俺たちと一緒にいてくれるほどこのグループを愛してる。
だから、自分のせいでグループの活躍やメンバーの活躍を邪魔したくないって思っているのを知っている。
だけど、そんなに一人で頑張ったら疲れちゃうんじゃないかって心配になる。
「章ちゃん。」
テレビ収録が終わった後、楽屋に戻ると李々は珍しくソファーに座る俺の横に座った。
「なんか暑くない?」
そして、李々はそう言って俺に寄りかかった。
俺とくっついている李々の身体が熱くなっていて、俺はさりげなく李々のおでこに手を当てた。
「熱あるんとちゃう?」
俺がそう言うと李々は自分のおでこに手を当てて、本当だねと笑った。
「次の収録まで休んどき。」
「うん…章ちゃん、」
誰にも言わんといて、と李々は俺の肩に頭を乗せて言うから俺は頷いた。
李々は精神的ストレスが身体に出やすいと思う。
しかも、自分でそれに気付かない。
前に熱があるのを黙っていて放っておいたら、楽屋でダウンしたことがある。
だから、俺は李々の少しの異変も逃さないようになったし、李々も体調が悪いときは素直に言うことを聞くようになった。
「なんや李々、眠いんか?」
「寝不足なんやって。」
それを見た信ちゃんが俺に聞くから、何事もなかったかのようにそう言えば、信ちゃんはまた本に目を落とした。
「ありがと。」
そうすれば李々は目を閉じたまま小さな声でそう言うから、俺は優しく髪を撫でた。
本当の理由を言わないのは、本当のことを言えば李々が自分を責めるから。
そして、自分だけにこうやって頼って欲しいから。
ー微熱
(俺だけの特権)
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章ちゃん。
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作者名:しゃち | 作成日時:2016年10月26日 12時