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元日の朝。
二人は『ときのはや』へ行った。
「明けましておめでとうございます、海里さん、祈さん」
言ってから
(ここは「お父さん、お母さん」でしょ！)
とAは後悔した。
「今年もよろしくお願いします」
五条も同じ事を思ったが、悪意は無いのだと理解しているのでツッコまず挨拶をする。
刻刃夫妻もそれは同じで
「明けましておめでとう」
「今年もよろしくね」
Aが気にし過ぎないようにしてくれた。
四人で神社に向かう道中、お互いの十六年を大まかに話し合う。
「じゃあ、Aも五条の坊も、ずっと互いに気持ちを隠していたのか？俺達と会った半年前までずっと？」
刻刃夫妻は、娘とその恋人の恋愛模様に食い付いた。
「え？なら、どっちが先に告白したの？お互いに大切だから言い出せなかったんでしょう？」
「あ〜…それは……」
五条は付き合うきっかけになった事なので言いたいのだが、照れ屋なAが暴走しそうでどう言えば良いか迷う。
その時、腕にAが抱き付く。
「私が…悟さんに告白して……その……キスしました……」
小さな声ではあったが、本人がちゃんと言った。
赤い顔を隠しながらではあったが。
(僕にとっては最高の幸福を、隠したり誤魔化したりしなかった)
その事が五条には嬉しかった。
思わず、口角が上がる。
「あら〜…九割方私に似たけど、海里の残念……もとい、大胆さも若干受け継いじゃったのね……」
「何か……スマン」
過去に襲われた祈はジト目で夫を見て、海里は居たたまれなさそうに謝罪を口にする。
「でもそのお陰で、今こうして周囲に認めてもらえる仲になれたんです」
ありがとうございますと、五条は未来の親に礼を言う。
Aも「私も……」と言葉を発する。
「まだ名前呼びですけど……二人の娘に生まれて、悟さんに出会えて……感謝してもし足りないです」
「この廻り合わせをありがとうございます」
手放して十六年が経った。
再会した時から、もしかしたら心の何処かで恨まれているかもしれない事を覚悟していた夫妻。
しかし、その十六年全てを娘は受け入れ、感謝してくれた。
夫妻は祈る。
この優しい娘の未来が、どうか幸せな時間でありますようにと。
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露里唄(プロフ) - キャッスさん» ありがとうございます。最後まで書き切れるよう頑張ります。のんびり更新なので、気長にお待ち頂けると嬉しいです。 (2022年4月10日 14時) (
レス) @page9 id: 29cf707392 (このIDを非表示/違反報告)
キャッス(プロフ) - 続き楽しみにしています！頑張って下さい！ (2022年4月10日 5時) (レス) id: c645bbf7af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：露里唄 | 作成日時：2022年3月6日 2時
