67 ページ17
小さく、そして震えた声で、Aは書類の最後の一文を読んだ。
「当主の名は刻刃海里、妻の名は祈。一子は女児で名を……Aという」
(ああ……そういえば)
海里達の言葉が思い出される。
当時の刻之廻手の使い手は海里と反逆者のみだと言っていた。
海里と祈は討伐中に愛し合って。
祈のお腹にAが宿った。
(あの二人が、私の本当の両親……)
不思議と、納得している自分がいるのを感じた。
兄との関係性が変わってしまって悲しい気持ちもあるにはある。
妹として、五条の幸せを見守れなくなってしまった。
一人の女として、苦しむ事になるだろう。
(それでも、刻刃家との繋がりを知ろうとしたのは私自身だもの)
後悔はしていない。
(でもせめて……)
この恋心のほんの欠片だけでも良い。
五条に伝えたい。
Aは枕元に書類を戻し、五条の寝顔を見つめた。
サングラスを外して眠る五条は、童顔のせいかどこかあどけなくて……
その姿を見ているだけで、愛しさで胸がいっぱいになる。
今まで兄だからと抑えていた行動を。
ほんの少しだけ、実行した。
五条の耳元に囁き声で
「……愛しています……悟さん」
告白した。
そして、五条の唇に触れるだけのキスを落とした。
Aのファーストキス。
眠っていたからできた行為だった。
それなのに。
唇を離した次の瞬間。
大きな手がAの頭をガシッとホールドしてきて。
「え！？ん……んっ……………〜っっ！！？」
眠っていた筈の五条から、激しいキスを返された。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 66人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
露里唄(プロフ) - レスの仕方もマトモに解っていなくて失礼しました。亀更新且つ機械オンチですが、温かく見守ってやって下さいm(__)m (2021年12月19日 22時) (
レス) id: d03abcb996 (このIDを非表示/違反報告)
露里唄(プロフ) - プスメラウィッチさん» コメント有難うございます！思わずスクショしました（笑）この作品は五条オチを予定しています。良かったら、五条兄妹や周囲へのツッコミ等のコメントもお願いします。 (2021年12月19日 22時) (レス) id: d03abcb996 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 露里唄さん初めまして、この小説は五条悟オチですか？できれば五条悟オチでお願い出来ますか？続き頑張ってください。応援しています。 (2021年12月19日 20時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：露里唄 | 作成日時：2021年10月13日 19時
