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コンコンコン

私の部屋にノック音が響く

今日で私も死ぬのかぁ、気持ちを引き締めて扉へと向かう

「よっ、気分転換に外行かへん?」

「うん、ご一緒させてもらえるんなら」

久しぶりの外、何だか空気が美味しい気すらしてくる

彼の背中を追い、海が綺麗に見える崖まできた

ゾムはどう話を切り出すか…といった様子でこちらを見てくる

決心したのか、深く深呼吸をして話し出す

「…Aさ、今日占い師に入れたんやろ?」

「うん、まぁね」

「本当、馬鹿やなぁ…」

といいながら、ゾムは私の頭を撫でる。

それが心地よいと思ってしまうのはおかしいのだろうか。



「てことで、お前は今日の夜死ぬんやけど遺言とかある?」

なんとゾムらしい、といったところか。

そんな直球に言うところも、ただかっこよく見えてしまう

私はゾムに目を合わせ

「好きだったよ、私…ゾムのこと。」

目を大きく見開き、驚いたような顔をする

その後、満面の笑みでゾムは言った

「明日の月は綺麗でしょうね」

何でさっき言ったのに、遠回しに言うんだ

そんな茶目っ気のあるところも好きなんだ、本当にただ好きだった

私はきっと生きてきた中で、今一番の笑みを浮かべていると思う。

彼とこの世を去れるなら、幸せなのかもしれない。

すぅっと全身で息を吸い、彼に返事をする

「そうだね、きっと明日は綺麗だね」


ぐちゃ



血飛沫でまっかっか、彼はぐちゃぐちゃになってしまった。

私が何をしたとかそういう訳ではなく、こういう仕様なのだろう狐が勝利の場合は。

「…ッう、ごめんね…ゾムっ、私…」

血溜まりの中で、私は一人空を仰ぐ。

今から後を追います、一時の幸せをありがとう

次会えたら、今度こそ本当の幸せを掴もう

暗い暗い夜、彼女は笑いながら全身を空へ投げ出した



月と狐

夏と君 ut→←狼と私 zm



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うぉっしゅ蜜柑(プロフ) - ウケさん» コメントありがとうございます(´ー`)褒めて頂き、嬉しい限りです!更新頑張らせて頂きます! (2017年7月3日 21時) (レス) id: eaa142400f (このIDを非表示/違反報告)
ウケ - いつも更新楽しみにしてます!どの話も素敵で・・・更新頑張って下さい! (2017年7月3日 18時) (レス) id: 8c0ab5ece7 (このIDを非表示/違反報告)
うぉっしゅ蜜柑(プロフ) - たかちんさん» コメントありがとうございます(´ー`)応援して下さっているなんて感謝感激です!今後とも精進するので、よろしくお願いします! (2017年6月12日 17時) (レス) id: eaa142400f (このIDを非表示/違反報告)
たかちん(プロフ) - いつも応援してます!更新楽しみに待ってました(^o^)トントンの小説わくわくしながら待ってます!! (2017年6月12日 16時) (レス) id: d1b7bc89b9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:うぉっしゅ蜜柑 | 作成日時:2017年5月20日 2時

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