49. (8/1)↓ ページ15
次の日の朝、会社のエレベーターの扉が開いた瞬間櫻井さんが立っていた。
「おはようございます！」
「……はよ」
櫻井さんは手に持っていた書類に視線を落とす。
あれ？
なんだろう、この感じ。
話しかけるなって全身から言われているような。
明らかな、拒絶。
私はそれに飲み込まれるみたいに、エレベーターにさっさと乗り込んで行く櫻井さんを見送るしかなかった。
少し近づけたと思っていたのに、一瞬で遠くなる距離。
「そんな顔してたらメシがまずくなるんですけど」
いつもの社食で二宮くんに言われて、はっとする。
相葉くんも心配そうに私を見ていた。
「あ、ごめん」
「どーせ、翔さんでしょ？」
「……」
「急に態度が変わった、とかそういうやつでしょ」
「なんでわかるの？」
「心あたりがあるから」
「心あたり？」
私と相葉くんの声が重なる。
「今日仕事終わったら、翔さん捕まえるからAも来てよ。まどろっこしいのやだから」
「え！じゃあ俺も！」
「来んな」
相葉くんが一言で追い払われてしゅん、としてる。
私は何が何かわからないまま、さっさと駅前の居酒屋に場所も決められて、午後の仕事に戻った。
櫻井さんは外出していて不在。
ボードを見ると直帰になっている。
「ね、櫻井さん直帰になってるしまた別の日にした方がいいんじゃないかな」
二宮くんにそう言うと、涼しい顔で、もう言ったよ翔さん来るって、と言われた。
3人で何を話すんだろう。
もやもやしたまま仕事を終えて、二宮くんと居酒屋に向かう。
「あのさ、今から言うことよく聞いて」
「何？」
「俺が先に翔さんと2人で話す。
言いたいことあんの」
「え？私どうすればいいの？」
「翔さんにはAが来ること言ってない。
後ろの席で俺たちの話聞いてて」
全然意味がわからない。
「そんな盗み聞きみたいなの嫌だよ」
「最後まで聞けって」
二宮くんが苦笑い。
「俺が言ってることが正しいと思ったら、ずっとそこで聞いてて」
「黙って聞いてるってこと？」
「そ。最後までね」
「だけど翔さんが正しいと思ったり、どうしても何か言いたくなったら、途中で出てきていいから」
曖昧にうなずく。
「Aが決めていーよ」
二宮くんが前を見たままもう一度言った。
「Aが決めて」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2653人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：つむ
| 作者ホームページ：
作成日時：2018年1月22日 18時
