天使がくれた銅貨 1 ページ47
温もりを感じて、Aは重たい瞼をゆっくり持ち上げた。睫毛の先には愛する人が、小さな寝息を立てそこにいた。
鼻先が触れそうなほど近くにリヴァイを感じて、Aは安心した。彼を待つ間Aはずっと、自分がどこにいるのか、朝なのか、夜なのか、全てのことにおいて心もとなかった。
夢と現実の狭間をさまよい、気付くとまたリヴァイのいない世界に目覚める。目覚めてしまう。頬を涙が濡らして、それを拭うこともせずに、また意識がさまよう。
でも、今は目の前にリヴァイがいる。リヴァイがそばにいるだけで、Aの世界は光に満ちて輝く。ああまた生きていける、そう感じることが出来た。
額にかかるリヴァイの髪を、Aはそっと耳の方へ撫でつけた。綺麗に刈り上げられたリヴァイの髪型をAはとても気に入っていた。触ってみたくなって、指先でそっと刈り上げられたあたりに触れてみた。優しく撫でる。いつも自分で整えてるのかなぁ。
不意に、Aは以前、寝ているリヴァイにキスをしたことを思い出し、クスッと笑った。目覚めたリヴァイをからかったら、キスされたっけ。
少し開けた窓の隙間からは、時折冷たい秋の風が入り込んできた。部屋の空気はひんやりとしていて、Aは肌寒さを感じてリヴァイにもっと身体を寄せた。あたたかいリヴァイの胸に顔をうずめた。
心臓の音が聴こえる。
生きている証。
生きてまた会えた証。
愛する人の、いのちの音。
心地よい音を聴きながら、Aはまたそっと目を閉じた。
※
リヴァイが目を開けると、自分の胸に顔をうずめて眠るAがいた。小さな寝息が優しく耳に流れ込んで、リヴァイは安堵した。
突然の任務で、あの夕暮れからたくさんの時間が流れてしまった。いちばん帰りたいこの場所は、いちばん遠く感じられ、その日々の激しさゆえ現実が遠ざかり、せっかく掴んだAとの安らぎも愛情も全て幻だったんじゃないかと思う瞬間さえあった。
でも今、Aは俺の腕の中にいる。この世でいちばん守りたいものが、いちばん安全な俺の腕の中にいる。待っていてくれた。いつ迎えに来るか分からない俺をこいつは待っていてくれた。
Aを抱きしめるリヴァイの力が少しだけ強くなった。穏やかな寝息がさらに近くなる。
遠かったここに帰ってきた証。
大切なAの生きている証。
生きてまた会えた証。
愛する人の、いのちの音。
優しく頭を撫でると、身じろぎしてAが顔を上げ、ゆっくり目を開いた。
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ちか(プロフ) - (*´∇｀)さん» 初めまして。読んでいただき、ありがとうございます。面白いと言っていただけて、大変嬉しいです。ゆっくり更新になりますが、頑張ります(^^♪ (2018年8月5日 7時) (
レス) id: d18ebea9c2 (このIDを非表示/違反報告)
(*´∇｀) - とても面白いです！更新楽しみにしてます！ (2018年8月5日 0時) (レス) id: 737145386d (このIDを非表示/違反報告)
ちか(プロフ) - 琴さん» ありがとうございます！ (2018年7月27日 13時) (レス) id: 0d180ac097 (このIDを非表示/違反報告)
琴 - ちかさん» 更新楽しみに待ってます(^｡^)頑張ってください！ (2018年7月27日 8時) (レス) id: 8f97a39ef4 (このIDを非表示/違反報告)
ちか(プロフ) - 琴さん» 初めまして。読んでいただき、ありがとうございます！私自身、ときめきたくて書いているので、そう言っていただけると、とても励みになります。のんびり更新ですが、これからもよろしくお願いします(*ﾟ▽ﾟ)ﾉ (2018年7月26日 20時) (レス) id: 0d180ac097 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ch | 作成日時：2018年2月28日 18時
