オレンジティー 1 ページ42
ふたりが黄昏の路地で、出会った夕暮れを思い出しながら寄り添った日から3週間が過ぎた。オーウェンに送ってもらったその日、2日後に迎えに来るから荷物をまとめておけと言って、リヴァイは兵舎に帰って行った。
荷物をまとめて壁際に置いて、Aは薄暗い部屋の中で、翌日も翌々日もそのまた次の日も、迎えに来るのを待ち続けていたが、待てど暮らせどリヴァイは現れなかった。あの日馬車からリヴァイが大切に下ろしてくれたオレンジの苗木も、あちこち欠けた器に張られた水に根を浸してはいたが、もはや水だけでは物足りない大きさになっていた。
｢リヴァイ…｣小さく呟いたAの声は、片付いた部屋の重い空気の中に、虚しく溶けて消えた。
Aは考えていた。リヴァイの身に、もしくはリヴァイの身近で、何か起きたんだ。リヴァイは約束を破ったりしない。訪ねてみようとも思ったが、リヴァイを信じて待つことを選んだ。リヴァイはきっと来てくれる。
──これからお前のそばにいるのは俺だ──
耳の奥に微かに残るリヴァイの声を、Aは何度も何度もリピートさせた。涙が頬を伝い、Aは夢へと落ちていった。満月の光が窓の隙間から射して、ぼんやり部屋を照らした。
※
Aの鼻先を、甘い香りがくすぐる。
いい香り……これはなんの香りかなぁ。
目の前には綺麗な花が咲き乱れていて、横にはリヴァイがいる。花の香り…？
リヴァイが優しく頭を撫でてくれる。
会いたかったんだよ
俺もだ、A
いい香り………なんの香りかなぁ。
いつまで寝てるんだ
え？
早くお前の瞳が見たいんだ
｢何かいいにおい…いい…に…お｣
知りたかったら、目を開けるんだな
Aがゆっくり目を開ける。もう朝だ。
眩しい…あれ？
窓を閉め忘れたかな…？
いい香り…夢じゃなくて、本当にいい香りがする。
この、部屋の中で…？
Aは勢いよく跳ね起きた。キッチンから、いい香りは漂ってくる。
Aはベッドを抜け出してアーチまで行きそっと中を覗くと、紅茶を飲んでいる人と目が合った。
｢やっと起きたか｣
｢………！｣
Aは言葉が出なかった。下を向き、両手で顔を覆った。やがて足音が近づいてきたかと思うと、強く抱きしめられた。
｢リヴァイ！｣
Aはリヴァイを抱き締め返した。涙が止まらなかった。
｢この部屋が、この世界で1番遠い場所のように思えた｣
顔を上げたAに、リヴァイは優しくキスをした。
｢その瞳が見たかった｣
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ちか(プロフ) - (*´∇｀)さん» 初めまして。読んでいただき、ありがとうございます。面白いと言っていただけて、大変嬉しいです。ゆっくり更新になりますが、頑張ります(^^♪ (2018年8月5日 7時) (
レス) id: d18ebea9c2 (このIDを非表示/違反報告)
(*´∇｀) - とても面白いです！更新楽しみにしてます！ (2018年8月5日 0時) (レス) id: 737145386d (このIDを非表示/違反報告)
ちか(プロフ) - 琴さん» ありがとうございます！ (2018年7月27日 13時) (レス) id: 0d180ac097 (このIDを非表示/違反報告)
琴 - ちかさん» 更新楽しみに待ってます(^｡^)頑張ってください！ (2018年7月27日 8時) (レス) id: 8f97a39ef4 (このIDを非表示/違反報告)
ちか(プロフ) - 琴さん» 初めまして。読んでいただき、ありがとうございます！私自身、ときめきたくて書いているので、そう言っていただけると、とても励みになります。のんびり更新ですが、これからもよろしくお願いします(*ﾟ▽ﾟ)ﾉ (2018年7月26日 20時) (レス) id: 0d180ac097 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ch | 作成日時：2018年2月28日 18時
