大切な人 4 ページ41
オーウェンの言葉に、Aは不思議そうな顔を見せた。おばさんちを出る時に、私たちを送るのをしぶしぶ引き受けていたのに、一体どうしたのか。A
の返事を待つわけでもなく、オーウェンは荷台からオレンジの籠を降ろしている。リヴァイもオレンジの苗木をそっと抱えて、ゆっくり道へ降りた。Aもその後に続く。
「当たり前じゃない、あなたに言われなくても、私はリヴァイを大切にするもん」
籠を降ろして伸びをしているオーウェンに向って、Aは少しむきになって言った。
「フン、同じようなこと言いやがって」
オーウェンは小さい声でそう言うと、馬車に乗り込んだ。
「じゃあな、おふたりさん」
「世話になったな。次に会う時まで、達者でいろ」
「送ってくれて、ありがとう。元気でね。おじさん達によろしく」
「ああ。たまには顔見せろよな」
馬車が動き出し、オーウェンが手を上げる。荷台が軽くなった馬車はみるみる速度を上げて、砂煙を巻き上げながらだんだん小さくなっていった。
「あいつのこと、大切にしてやれ」
小さくなる馬車を見ながら、リヴァイが呟いた。
「え？」
Aは少し驚いて、リヴァイの顔を見た。リヴァイはただ、馬車が消えた道のずっと向こうを見ていた。
「あいつが、今までお前にしてくれたことに俺は感謝したい。俺と出会うまでの間、ついこの間まで、あいつは少なからずお前にとって大きな存在だったはずだ。これからお前のそばにいるのは俺だが、あいつのことも大切にしてやれ」
Aは夕陽を受けて影を作るリヴァイの横顔をじっと見つめていた。そして、リヴァイの腕に腕を絡めた。
「うん、ありがとう」
リヴァイの顔がゆっくりAの方に向く。
「なぜ、礼をいう？」
リヴァイが、穏やかな瞳のまま尋ねた。
Aは、その優しい瞳を見つめながら静かに言った。
「リヴァイは私を大切にしてくれる。ただ何となく生きていた私に、生きる意味を教えてくれた。人を愛する喜びを教えてくれた。そして、私を取り巻く人も大切にしてくれる。だから感謝してるの」
「そうか、なら良かった」
「リヴァイのそういうところが、好き」
「そういうところとは、何だ？」
「優しさが、溢れているところ」
「何なんだ、それは」
「いいの。私には見えるから、リヴァイの優しさが」
「何だかよく分からんが、まあいいだろう。お前がいいなら」
家々の窓に灯りが付き始めて、ふたりは、出会ったあの夕暮れを思い出していた。
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ちか(プロフ) - (*´∇｀)さん» 初めまして。読んでいただき、ありがとうございます。面白いと言っていただけて、大変嬉しいです。ゆっくり更新になりますが、頑張ります(^^♪ (2018年8月5日 7時) (
レス) id: d18ebea9c2 (このIDを非表示/違反報告)
(*´∇｀) - とても面白いです！更新楽しみにしてます！ (2018年8月5日 0時) (レス) id: 737145386d (このIDを非表示/違反報告)
ちか(プロフ) - 琴さん» ありがとうございます！ (2018年7月27日 13時) (レス) id: 0d180ac097 (このIDを非表示/違反報告)
琴 - ちかさん» 更新楽しみに待ってます(^｡^)頑張ってください！ (2018年7月27日 8時) (レス) id: 8f97a39ef4 (このIDを非表示/違反報告)
ちか(プロフ) - 琴さん» 初めまして。読んでいただき、ありがとうございます！私自身、ときめきたくて書いているので、そう言っていただけると、とても励みになります。のんびり更新ですが、これからもよろしくお願いします(*ﾟ▽ﾟ)ﾉ (2018年7月26日 20時) (レス) id: 0d180ac097 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ch | 作成日時：2018年2月28日 18時
