出逢い5 ページ5
ランタンの明かりに、部屋がぼんやり浮かび上がる。裏路地に向いた小窓があり、その下にソファが置いてある。ソファの右側にはサイドテーブル、その横にはベッドがあった。月明かりが僅かに差し込む通りに面した窓の近くには、小さなテーブルと2脚の椅子があった。入口から左の石壁には、アーチがあり、その先は暗闇が広がっていた。キッチンやバスルームなどがあるようだった。
兵士は、カツカツと靴音を鳴らしながらAの座っているソファに近づくと、口を開いた。
「ここに、ひとりで住んでいるのか？」
「はい…」Aはゆっくり答えた。「数年前までは家族と住んでいましたが、今はひとりです。父と母は……」そこでAは言葉を詰まらせてしまった。
「話したくねぇなら、やめておけ。辛い記憶はなかなか消えねぇ」兵士は少し掠れた声で言った。
「大丈夫です」少し沈黙したあと、Aはまた、ぽつりぽつりと話し始めた。「父と母は、巨人の襲撃の犠牲になったんです。私はその日、出かけていました。契約している農家へ、お手伝いに行っていたんです。壁が壊され、地獄と化した住み家を離れ、ここまで逃げてきたんです」
兵士は、ただ静かに聞いていた。Aの頬にはいつの間にか涙が伝い、乾いた床に落ちた。涙を見られたくなくて、Aは、さらに下を向くしかなかった。
「お互い、天涯孤独…ってことだな」兵士はぽつりと呟いた。
「え？」Aは驚いて、涙が頬に残るのも忘れ、顔を上げて兵士を見た。
「俺もひとりだ。今は兵団にいて仲間はいるが、家族はいねぇ」表情ひとつ変えずに、兵士はそう言った。
「…残されるのって、辛いですね。思い出が沢山あって」ひとすじの涙が頬を伝い、Aは言った。
「残していく方も、辛いに違いねぇ」そう言うと、兵士はそっと手を伸ばし、Aの目のふちを親指でなぞって、滲んだ涙を拭った。
「泣くんじゃねぇ。生き残ったやつは、強く生きるしかねぇ」兵士の瞳には、力強い炎が宿っていた。「そう遠くない未来、巨人に脅かされない日が来る。俺が巨人を絶滅させる。」
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ちか(プロフ) - (*´∇｀)さん» 初めまして。読んでいただき、ありがとうございます。面白いと言っていただけて、大変嬉しいです。ゆっくり更新になりますが、頑張ります(^^♪ (2018年8月5日 7時) (
レス) id: d18ebea9c2 (このIDを非表示/違反報告)
(*´∇｀) - とても面白いです！更新楽しみにしてます！ (2018年8月5日 0時) (レス) id: 737145386d (このIDを非表示/違反報告)
ちか(プロフ) - 琴さん» ありがとうございます！ (2018年7月27日 13時) (レス) id: 0d180ac097 (このIDを非表示/違反報告)
琴 - ちかさん» 更新楽しみに待ってます(^｡^)頑張ってください！ (2018年7月27日 8時) (レス) id: 8f97a39ef4 (このIDを非表示/違反報告)
ちか(プロフ) - 琴さん» 初めまして。読んでいただき、ありがとうございます！私自身、ときめきたくて書いているので、そう言っていただけると、とても励みになります。のんびり更新ですが、これからもよろしくお願いします(*ﾟ▽ﾟ)ﾉ (2018年7月26日 20時) (レス) id: 0d180ac097 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ch | 作成日時：2018年2月28日 18時
