片翼 4 ページ37
「あいつが持っていて、俺が持っていないもの」
「そうだ」
「よく分からんが」
「その女性が、お前に出会ってからずっと、お前に注いでいるものだ」
「……………」
「それは多分、無償の愛だと思う」
「無償の愛？」
「そうだ。見返りを求めない愛情。本来は親に貰うものだが、お前は小さい頃に母親を亡くした。詳しくは知らないが、きっとひとり寂しい思いをしてきたんじゃないか？」
「よく分からねぇが、まあ、そうだろうな」
「今日はやけに、素直だな」
「これのせい…かも知れないが」
リヴァイは再び空になったグラスを持ち上げ、催促するようにエルヴィンに突き出した。エルヴィンはボトルの蓋を開け、リヴァイのグラスに注いだ。
「リヴァイ。お前は今まで知らなかった無償の愛を知った。だから、存分に甘えていいんだ。きっと、その女性のところ以外にはないだろう。お前が安らげる場所は」
「それは、俺も感じていた。安らげるのはあいつのところしかねぇとな」
「お前は新たに翼を手に入れたんだ。愛という片翼をだ。愛を知ったやつは強い。人類最強は、さらにその上をいったな」
「片翼…か」
「きっとその女性も、お前に大切にされることで、生きるための強い片翼を手に入れたんだろうな」
「最初に出会った夜に、家族を失った話をしながらあいつは泣いていた。泣くな、生き残ったやつは強く生きるしかねぇといつもの調子で言っちまったが、あいつは泣くのをやめて、これからは強く生きると言っていた」
「お互いに欠けていたものを、分け合ったんだな」
「だといいが」
リヴァイはウィスキーを一気に煽ると、空になったグラスを置いた。
「あいつを俺の部屋に呼びたい。あいつと暮らそうと思う。エルヴィン、お前の許可が必要だろう？」
エルヴィンも一気に煽ると、空になったグラスを置いて、静かな瞳でリヴァイを見た。
「お前の好きにしろ。お前が決めることだ」
「ありがとう」
「お前のありがとうは、貴重だな。ぜひ彼女を紹介してくれ」
「もちろんだ」
「お前に家族が出来るんだな。結婚するのか？」
「おい、気が早いな。俺はただ、あいつをいつもそばに置いて、守ってやりてぇだけだ。そして、あいつが待つ部屋に、俺は帰りたいだけだ」
「幸せを手に入れる瞬間が来たら、逃しちゃダメだ。この狂った世界では、幸せというものは稀にしかない」
「かも知れねぇな」
「幸せになれよ、絶対にだ」
「ありがとうな」
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ちか(プロフ) - (*´∇｀)さん» 初めまして。読んでいただき、ありがとうございます。面白いと言っていただけて、大変嬉しいです。ゆっくり更新になりますが、頑張ります(^^♪ (2018年8月5日 7時) (
レス) id: d18ebea9c2 (このIDを非表示/違反報告)
(*´∇｀) - とても面白いです！更新楽しみにしてます！ (2018年8月5日 0時) (レス) id: 737145386d (このIDを非表示/違反報告)
ちか(プロフ) - 琴さん» ありがとうございます！ (2018年7月27日 13時) (レス) id: 0d180ac097 (このIDを非表示/違反報告)
琴 - ちかさん» 更新楽しみに待ってます(^｡^)頑張ってください！ (2018年7月27日 8時) (レス) id: 8f97a39ef4 (このIDを非表示/違反報告)
ちか(プロフ) - 琴さん» 初めまして。読んでいただき、ありがとうございます！私自身、ときめきたくて書いているので、そう言っていただけると、とても励みになります。のんびり更新ですが、これからもよろしくお願いします(*ﾟ▽ﾟ)ﾉ (2018年7月26日 20時) (レス) id: 0d180ac097 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ch | 作成日時：2018年2月28日 18時
