Close to you 7 ページ33
Aはリヴァイの背中に耳と頬を、隙間なくぴったりと付け、彼の心臓の音を聴いていた。
──いつか、2人で暮らしてぇな──
リヴァイの鼓動は速くなることも無く、いつも通り、トクントクンと心地良い音を奏でていた。Aは唐突に言われたその言葉に、全身が心臓になったようだった。リヴァイを抱きしめる腕に、更に力がこもった。
「うん………ずっとずっとそばにいたい。リヴァイの為に……生きたい」
リヴァイは腰に回されたAの手をそっと取り向き直った。静かな湖を思わせる澄んだリヴァイの瞳に、Aの泣き出しそうな顔が映っていた。
「どうした。泣いているのか？ 」
「うん、泣いてる。リヴァイのことが好きで、泣いてるの」
「どうしようもない奴だな、お前は」
「うふふ」
「泣いたり笑ったり、忙しい奴だ」
リヴァイは優しく触れるだけのキスをした。
「俺はお前を守りてぇ。だが、離れてたら守れねぇ」
「うん」
「俺の部屋で、2人で暮らすんだ。そうじゃねぇと、安心できねぇ」
「うん」
「なるべく早く、お前を呼べるように準備する。いいな」
「うん！」
「さて、俺は帰らなきゃなんねぇ」
「そうだね」
リヴァイが扉に向って歩いて行く。その後をAが追う。扉の前で、リヴァイが向き直った。
「もう、オレンジは終わりか？」
リヴァイは傍らに置いてある空の木箱を見て言った。
「うん、夏が終わったから」
「そうか」
「秋からは、仕立て屋さんのお仕事を手伝うの」
「仕立て屋？」
「うん、毎年お世話になっているお店があって」
「オレンジを売ったり、仕立てたり、そういうのが好きか？」
「好きかどうか、分からない。オレンジは美味しいから大好きだけど、あまり売れない。仕立ては、私、あまり器用じゃないから…でも、生きていくには、働かないとならないし」
「俺と暮らすようになったら、お前の大切にしてきたそういうものを、奪っちまうことになるな」
「大丈夫。ふたりで暮らすようになったら、私の仕事は、リヴァイを大切にすることだから」
「ほう、それは興味深い」
「行ってらっしゃい、とか、お帰りなさい、とか、おはようとか、おやすみ、とか言うの。ありがとう、とか、ごめんね、とかも言うの。たくさん言葉を交わして、リヴァイの色んなことを知るの」
「そうか。じゃあ、覚悟しておけ」
「覚悟？」
「ああ、俺に大切にされる覚悟だ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 40人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちか(プロフ) - (*´∇｀)さん» 初めまして。読んでいただき、ありがとうございます。面白いと言っていただけて、大変嬉しいです。ゆっくり更新になりますが、頑張ります(^^♪ (2018年8月5日 7時) (
レス) id: d18ebea9c2 (このIDを非表示/違反報告)
(*´∇｀) - とても面白いです！更新楽しみにしてます！ (2018年8月5日 0時) (レス) id: 737145386d (このIDを非表示/違反報告)
ちか(プロフ) - 琴さん» ありがとうございます！ (2018年7月27日 13時) (レス) id: 0d180ac097 (このIDを非表示/違反報告)
琴 - ちかさん» 更新楽しみに待ってます(^｡^)頑張ってください！ (2018年7月27日 8時) (レス) id: 8f97a39ef4 (このIDを非表示/違反報告)
ちか(プロフ) - 琴さん» 初めまして。読んでいただき、ありがとうございます！私自身、ときめきたくて書いているので、そう言っていただけると、とても励みになります。のんびり更新ですが、これからもよろしくお願いします(*ﾟ▽ﾟ)ﾉ (2018年7月26日 20時) (レス) id: 0d180ac097 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ch | 作成日時：2018年2月28日 18時
