虜 6 ページ23
リヴァイは分厚いハムの挟まったサンドウィッチを手に取り、Aに渡そうとした。
「今度はお前が喰う番だ」
「私は大丈夫。リヴァイにたくさん力をつけて欲しいな。壁の外から、無事に帰って来れるように。栄養摂らないとだめだよ」
「ダメだ。お互い力をつけなきゃならねぇだろうが。またいつ壁が破られるか分からないからな」
「また…壁が…？」
「そうだ。いつだってその危険はある。巨人が来たら、俺はお前を助けに来るが、絶対に来れる保証はねぇ。そうなったら、お前は逃げなきゃならねえだろうが。お前に死なれては俺が困るんだ。だから、これを喰え！」
リヴァイの真剣な眼差しに、Aはサンドウィッチを受け取る事にした。
「ありがとう、リヴァイ。心配してくれて。そうだね、逃げなきゃならないんだね。頑張って、死なないようにする」
「ああ、そうしろ」リヴァイは安心したように、今度は薄いハムの方を手に取った。
「そうだ、オレンジジュースもあったんだ」Aは水筒とカップをふたつ取り出して、ひとつをリヴァイに持たせると、オレンジジュースを注いだ。搾りたての爽やかな香りが広がると、リヴァイはそれを一気に飲み干した。
「悪くねぇ。もっとくれ」リヴァイはカップを突き出して、Aはオレンジジュースを注いだ。
「リヴァイが気に入ってくれて、嬉しいな」Aは食べるのを忘れて、リヴァイが食べたり飲んだりするのを眺めていた。やがて、それに気づいたリヴァイが言った。
「お前、全然喰ってねえだろうが。ジロジロ見やがって、俺が喰ってんのが、そんなに面白いか？」
「うん、面白い」
「変なやつだな、お前は」
「リヴァイになら、何て言われてもいい」Aはただ、リヴァイが美味しそうに食べてくれて、幸せだった。今、目の前にいるリヴァイの姿を、声を、全部鮮明に記憶したかった。時間になれば、また離れ離れになる。考えたくないが、いつもいつも思ってしまうのは、次に、生きて会えるか、ということだった。常に危険な任務にあたるリヴァイと、無力な自分。今までは、再び壁が壊されることがあれば、今度こそ死ぬかもしれないけど、それは仕方が無いことだと半ば諦めみたいなものを抱いて、ただ何となく生きていた。そう、あの日、リヴァイに会うまでは。
今はただ、生きていたい。
生きて、リヴァイを愛したい。
会えない時間が長くても、心はそばにいたい。
秋空を鳥が飛んでいた。
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ちか(プロフ) - (*´∇｀)さん» 初めまして。読んでいただき、ありがとうございます。面白いと言っていただけて、大変嬉しいです。ゆっくり更新になりますが、頑張ります(^^♪ (2018年8月5日 7時) (
レス) id: d18ebea9c2 (このIDを非表示/違反報告)
(*´∇｀) - とても面白いです！更新楽しみにしてます！ (2018年8月5日 0時) (レス) id: 737145386d (このIDを非表示/違反報告)
ちか(プロフ) - 琴さん» ありがとうございます！ (2018年7月27日 13時) (レス) id: 0d180ac097 (このIDを非表示/違反報告)
琴 - ちかさん» 更新楽しみに待ってます(^｡^)頑張ってください！ (2018年7月27日 8時) (レス) id: 8f97a39ef4 (このIDを非表示/違反報告)
ちか(プロフ) - 琴さん» 初めまして。読んでいただき、ありがとうございます！私自身、ときめきたくて書いているので、そう言っていただけると、とても励みになります。のんびり更新ですが、これからもよろしくお願いします(*ﾟ▽ﾟ)ﾉ (2018年7月26日 20時) (レス) id: 0d180ac097 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ch | 作成日時：2018年2月28日 18時
