虜 3 ページ20
Aの前には、さっき自分を突き飛ばした門番が、蹴られたのだろう、倒れていた。もうひとりの門番も、腰を抜かして尻餅をつき
「兵長…も…もっ…申し訳ございません」と震える声を絞り出していた。
そして、Aの目の前に、見慣れた袖口と長い指が伸びてきた。リヴァイだ。
「立てるか？」いたわるような声が聞こえてきた。
「ごめんなさい」リヴァイの手を取り、立ち上がりながらAは小さな声で呟いた。
「どうしてあやまる」
「勝手に…会いに来てしまったから」
「それは俺も同じだ」リヴァイはAの服に付いた汚れをそっと払うと、バスケットを拾い上げ、水筒を入れた。そして、まだビクビクしている2人の門番に向かって強い口調で言った。
「こいつは、俺の客だ。よく覚えておけ」
「はい！肝に銘じておきます！」裏返った声で言って、2人は敬礼した。
「これは、俺にか？」リヴァイはAの持ってきたバスケットを見てそう聞いた。
「うん。一緒に食べれたら…幸せだなって…そう思って」照れながらAはそう答えた。「でも忙しいでしょ？」
「いや、ちょうど昼の休憩時間だ。だから出てきたんだが、そしたらお前がいた」
「じゃあ、天気もいいし、外で食べたいな」Aは頬を染めてそう言った。
「外か、悪くない。行くぞ」リヴァイはそう言と歩き出した。Aもすぐに後を追う。リヴァイの背中の自由の翼が揺れて、Aは、リヴァイに出会ったあの日を思い出していた。あの日もし、足を怪我しなかったら、私は道に倒れていなかった。いつも通り木箱を荷車に積み、その側を、リヴァイが私などには一瞥もくれず、通り過ぎていただろう。
そうなっていたら、ふたりが出会うことなど、無かったのだ。
そう思うと、運命的なものを感じてますます胸がドキドキして、Aは足を早めてリヴァイに追い付こうとした。そして気付いた。バスケットを持たせたままだった。
「ごめんなさい。それ、持たせたままで」リヴァイの右手からバスケットを受け取ろうとした。でも次の瞬間、手に触れたのは、あたたかなものだった。
「あんまり時間がねぇ」Aの手を包んだのは、リヴァイの左手だった。リヴァイが手を引いてくれる。
「リヴァイ？」
「何だ」
「元気だった？」
「ああ。お前はどうだ」
「うん…全然元気じゃなかったよ。リヴァイに会えなくて、辛かった」
突然リヴァイが立ち止まった。
「訂正する。俺も元気とは言えなかった」
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ちか(プロフ) - (*´∇｀)さん» 初めまして。読んでいただき、ありがとうございます。面白いと言っていただけて、大変嬉しいです。ゆっくり更新になりますが、頑張ります(^^♪ (2018年8月5日 7時) (
レス) id: d18ebea9c2 (このIDを非表示/違反報告)
(*´∇｀) - とても面白いです！更新楽しみにしてます！ (2018年8月5日 0時) (レス) id: 737145386d (このIDを非表示/違反報告)
ちか(プロフ) - 琴さん» ありがとうございます！ (2018年7月27日 13時) (レス) id: 0d180ac097 (このIDを非表示/違反報告)
琴 - ちかさん» 更新楽しみに待ってます(^｡^)頑張ってください！ (2018年7月27日 8時) (レス) id: 8f97a39ef4 (このIDを非表示/違反報告)
ちか(プロフ) - 琴さん» 初めまして。読んでいただき、ありがとうございます！私自身、ときめきたくて書いているので、そう言っていただけると、とても励みになります。のんびり更新ですが、これからもよろしくお願いします(*ﾟ▽ﾟ)ﾉ (2018年7月26日 20時) (レス) id: 0d180ac097 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ch | 作成日時：2018年2月28日 18時
