出逢い2 ページ2
びっくりして仰ぎ見ると、兵士の隊服を着た男の人が、険しい顔でこちらを見下ろしている。隊服の胸には、自由の翼…確か、調査兵団だったか。
「邪魔をしてすみません。今どきますから。」
慌てて立ち上がろうとしたが、左足は小石でできた傷でかなり痛みが酷く、立ち上がれなかった。
「無理に立ち上がるな。足を怪我してんじゃねえか
」
血の滲んだ足が見えたのか、その兵士はしゃがみこむと、ジャケットの内ポケットから真っ白いハンカチを出して、怪我した足に器用に巻き付けた。神経質そうなキリッとした横顔が印象的だ。みすぼらしい格好をした自分が、とても恥ずかしくなって、Aはただ黙り込んだ。家族を失い、誰にも頼らずひとりで生きてきたAにとって、誰かが自分のために何かをしてくれるというのは、何年ぶりであろうか。Aはただ黙って手当をしてくれている兵士の、綺麗な鼻筋と瞳を見つめていた事に気付き、慌てて視線を逸らした。
最後に少しきつく縛ると
「肩を貸す、立ってみろ」と言って、Aの腕を掴んで自身の肩へまわした。
右足に力を入れて、立ち上がる。通りを歩く人々は、ふたりには一瞥もくれず通り過ぎて行った。
「ありがとうございます」Aは礼を言うと、道に散らばったままのオレンジの事を思い出した。
突然の出来事に、突然の優しさに、オレンジをばら撒いたことをすっかり忘れていたのだ。
せっかく立ち上がらせてもらったのに、またしゃがんでオレンジを拾わなきゃならない。親切を無駄にしてしまうようで、どうしようかと途方に暮れていると
「この散らかったオレンジは、お前のものか？」Aの複雑な表情を見て察したのか、兵士がそう聞いた。
「はい…でも大丈夫です。少し休んだら拾いますから。本当にありがとうございました」そう言って兵士の肩にまわしていた腕を抜こうと身じろぎしたが、まだだと言わんばかりに、切れ長の瞳がジロっとこちらを見た。
「取り敢えず、お前をあの椅子まで運ぶ。散らかったやつは拾ってやるから、大人しくしていろ。歩くぞ」
ふたりは店に向かって歩き出した。兵士の足の少し後をAの足が追う。ハンカチを巻いてもらったお陰で、足が地面に付いても、それほど痛く感じなかった。やがて椅子にたどり着くと、兵士はAをゆっくり座らせた。そして、オレンジを拾うために再び道へ歩いていった。
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ちか(プロフ) - (*´∇｀)さん» 初めまして。読んでいただき、ありがとうございます。面白いと言っていただけて、大変嬉しいです。ゆっくり更新になりますが、頑張ります(^^♪ (2018年8月5日 7時) (
レス) id: d18ebea9c2 (このIDを非表示/違反報告)
(*´∇｀) - とても面白いです！更新楽しみにしてます！ (2018年8月5日 0時) (レス) id: 737145386d (このIDを非表示/違反報告)
ちか(プロフ) - 琴さん» ありがとうございます！ (2018年7月27日 13時) (レス) id: 0d180ac097 (このIDを非表示/違反報告)
琴 - ちかさん» 更新楽しみに待ってます(^｡^)頑張ってください！ (2018年7月27日 8時) (レス) id: 8f97a39ef4 (このIDを非表示/違反報告)
ちか(プロフ) - 琴さん» 初めまして。読んでいただき、ありがとうございます！私自身、ときめきたくて書いているので、そう言っていただけると、とても励みになります。のんびり更新ですが、これからもよろしくお願いします(*ﾟ▽ﾟ)ﾉ (2018年7月26日 20時) (レス) id: 0d180ac097 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ch | 作成日時：2018年2月28日 18時
