45 橙・緑 ページ45
ズシッとした存在感。試し撃ちをしながら、薬で焦点の合わなかった時に比べて勘が戻ってることに安心する。
「体なまってる？それで？」
「はい。足手まといにはならないようにします。」
「へぇ。すげぇな。おーい、ヒナぁ！」
スピーカーがあるのか、どこかの部屋にインターホンごしに呼びかける。
「ん、駐車場におる。いつでもええで。」
迷路のような基地の中を歩き、駐車場に到着すると、えらく明るい雰囲気の男が待っていた。
「よぉ、村上や。よろしくな。」
「はい。」
「これ、食料と薬。なまってるように見えへんかったけど、まだ歩くのにようやく慣れたぐらいや。無理すんな。ヒナはおかんみたいなもんやから、頼って。」
「はい。」
「おかんて何やねん。」
「命がけの任務やのに、行く前にお母さんと会われへんのは申し訳ない。でも、結構時間に焦ってる。」
「わかっています。母をよろしくお願いします。」
すごい勢いで走り出した車。
「すまんなぁ、ちょっと飛ばすで？」
「はい。」
「ほんまに受けてくれるとはな。」
「え？」
「いや、どんな人か知らんかったし、勝手に連れ去ってきたようなもんやから。」
「あぁ…。」
「さっき連絡が入ってな。作戦が実行に移される。」
「…」
「やばいと思いますか？」
「横山さんは凄腕やし、相手に匹敵するとは思います。大倉は筋がいいけど、格上の相手との経験は少ないから…」
「こっちはあと、強いのは強いけど、勢いでいってまうとこのある奴と、趣味に没頭しすぎる奴。」
「…急ぎましょう。」
村上さんの運転する車は、抜群のスピードで走り続ける。どうか間に合うようにと何度も心の中で祈っていた。
◇
緑サイド
「警察との連携が上手くいくかやな。」
「全部任せてくれたらいいのに。」
「向こうにも意地があるやろ。」
「こんな大がかりにせんでも…」
「俺らの予想が外れた時、警察のこの大人数は助かる。時間を稼いでもらえるからな。」
「まぁ、そうやけど。」
「ほら、集中や。亮は勢いでいかんと落ち着いて行動すること。ヤスは後方支援頼む。」
「はい！」
横山くんと俺は、要人に張り付く警護たちの周辺に身を潜める。どれくらい時間が経ったのか。騒がしい動きが起こった。
来たか？横山くんと視線を交わす。その時、ヤスからの通信が腕時計に届く。
屋敷入口に20人。亮と俺で警察の援護。上から数名侵入。
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作者名：orange | 作成日時：2023年12月29日 23時
