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28 橙 ページ28

橙サイド

「起きれるか?」

重い体を両手で持ち上げる。でも、体を起こしただけでめまいがした。

「無理するな。」

ベッドの背もたれに体を預けるけど、それだけでもしんどい。

「ゆっくり食事をせなあかん。体力を戻さんとな。」

「…ボス、任務を。」

「あほ。そんな体で何が出来んねん。任務は食べて寝ること。食事運ばせる。」

そっと頬を撫でられ、ボスがスマホを出しながら一旦部屋を出ていった。

「失礼します。」

入れ替わりに入ってきたボスの使用人。目の前に食事が用意されるけど、全く食べたいとは思わない。

「手伝いましょうか?」

「…」

初めて見る顔。俺が寝込んでる間に人が変わった…?

「誰?」

いつもなら一声目で気づくはず。あっさり侵入を許してしまうなんて。

「すみません、意識のないときからこちらには伺っていたので、失礼をいたしました。」

「…」

こんなところまで忍び込めるとは思えない。でも何となく気になった。

「ボスを呼んできます。」

後退りしながら出ていく。隙のない身のこなし。

「マル、食べれるか?」

すぐにやって来たボス。

「新しい奴、雇った?」

「あぁ、あの使用人か?もともとうちのスパイやったけど、大怪我をしてな。再就職や。」

感覚がおかしくなってんのか…。ボスが怪しんでいないのなら考えすぎか。

「マル、すまんがしばらく忙しい。不自由やろうけど、屋敷のもんに頼んでるから…」

何とか3口ほど食べたら体力の限界。ボスの話を聞きながら横になると、そのまま意識を失った。

目覚めたのは夜中。何となくおかしい。いや…

「誰や。」

明らかに人の気配。やられる…?武器はない。でもしばらくすると気配が消える。

気のせいか…。薬のせいで何度も幻覚を見た。それが続いてるのか…。もし気のせいでないなら、狙いは俺?いや…ボスやろう。そもそもここはボスの部屋。ターゲットがいなくてそのまま去ったのか…

ゆっくりと起き上がる。無理や。立ち上がることも程遠い。これでは何の役にも…

「はぁ…」

別にええやんか。誰を守るっていうねん。ボス?自分?どちらにしても守る価値なんてない。

窓もない部屋で唯一時の流れを知らせてくれる古い時計。

狂ったまま、どうにでもなってよかったのに。

そしてまたそのまま眠ったんだろう。ドアをノックする音で目が覚める。

「おはようございます。ボスから食事を手伝うように言われております。」

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作者名:orange | 作成日時:2023年12月29日 23時

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