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「まぁ、ほんまは好き以上やねんけどな。」
「好き以上?」
「ブッ!そんなん真面目に聞き返さんといて!」
「え?」
「でも、俺の大事な人にとってもかけがえのない人やからなぁ。」
「大事な人?」
「とりあえず我慢する。我慢出来るってことは、あいつの方が気持ちが上なんかもしれんし。」
「あの、先生?」
「ね、丸山さん。友達なんやし、マルって呼んでもいい?」
「それはもちろん!」
「じゃあ、俺のことも名前で呼んで?」
「いや、先生のことそんなん…」
「友達やん。」
「え〜…いいんですか?」
「ん!下の名前で!」
「章大さん。」
「…それはヤバい。」
「あ!ごめんなさい。変ですか?」
「あ、いや、ちょっとドキッとするから、もうちょい気楽な感じで。」
「ん〜、じゃあ章ちゃん…とか?」
「はい、それ!!決定!もっかい言うてみて。」
「章ちゃん。」
「マルと章ちゃん。ええやん!」
「ふふ。じゃあよろしくね、章ちゃん。」
「グッ…。マル、かわいい。」
「…おっさんですけど。」
週末のルーティーン。繁盛期以外は大体毎週ここにいる。ほんとは今日、大倉さんと出来上がった物を見に行く予定やったけど、なんと土日を含めた一週間の出張。
「先方の都合がここしかないって言われて。ほんまに申し訳ないんですけど、是非見ておきたいものなんで行ってきます。あ!でもなんかあったら連絡してくださいよ!」
慌ただしく連絡をもらい、少し残念な気持ちにもなったけど、じゃあ新たな作品をということでいつものように教室にいる。
「いい作品になってるで。持ってこようかと思ったけど、大倉がマルと一緒に見たいからあかんって。」
「楽しみ!」
「マルもなんかちょっと展覧会に出してみるか。」
「え!」
「弟子たちの展覧会があるから、その時に。」
「えー!!い、いいんですか?」
「もちろん。ビシビシ鍛えるでぇ!」
「やったー!お願いします!」
楽しみが出来た。自分なりに頑張ってみよう。大倉さんにも報告しないと!あ…出張か…。仕事やのに連絡なんて出来ひんな。
週明け。いつもと変わらない週の始まり。でもなんとなく元気が出ない。なんやろ…
「お前、何をぼーっとしとんねん。」
「え?全然そんなことないけど?」
「は?俺が今、何回お前に呼びかけたと思ってんねん。」
「へ…そうなん?」
「おう。なんや悩み事か?」
「え?…ん〜…別に。」
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作者名:orange | 作成日時:2022年12月27日 14時