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夕方になるとより一層憂鬱になる。

「マル、ほら、ヨコも飲みに行こうって言ってるから来い。」

「ん…でもなんか、やっぱ帰る。」

「あかん!!」

連れてこられた居酒屋には、すでに横山さんの姿。一応席についたけど、全く飲む気になれない。

「お前、なんか変なもん食べたんちゃうか?」

「お腹は痛くない。」

「…マル。」

「ん?」

「相手は誰や?」

「…え?」

横山さんが急に真面目な顔で聞いてくるけど…相手?

「なんやねんヨコ…あ!!お前!」

「え、なに?」

「マル、好きな奴できたやろ?」

「……は?」

「は?ちゃうわ。完全に恋煩いやないか。俺の知らん間にそんなことになってるとは…」

「いやいや。そんなん居てないよ。」

「自分で気づいてないんか?」

「気づくも気づかないも…僕、恋愛はもうええし。」

横山さんと村上さんが目を合わす。なんか変なこと言うたかな。

「これまでのこととか、何となくお前が大変な思いをしてきたんやろうなってことはわかる。でもな、自分のこと、ちゃんと大事にしたり。」

「自分のこと?」

「そうや。」

「マルはいっつも人のことばっかりや。お前も幸せにならなあかん。」

「僕、今幸せやで。二人のおかげで世界が広がったし。」

「マル…」

「僕、人のことよぉ笑わしてるけど、ほんまに信頼できる人っていてなかったんやって気づいた。本当に幸せになって欲しい、大事にしたいって思う人も。全部自分で拒絶してたんやと思う。」

「…」

「二人のこと、大切にしたい。幸せになって欲しいってめっちゃ願ってる。…面倒見てもらってばっかりやけど。」

「…ヨコ、泣くな。」

「お前もや、ヒナ。」

顔が真っ赤になった二人。その二人が同時に手を伸ばして僕の頭をグシャグシャと撫でまわす。

「ちょっ!なに!?」

「ほんまにかわいいやっちゃ。お前は弟な。もう弟。」

「なんかあったら俺らの所に来い。何があっても守ったる。」

二人の力強い言葉。うれしいな。

「よろしくお願いします。」

「おう!ほら、飲まれへんねやったら食え。」

「食べたくない。」

「無自覚恋煩いめ!ちょっとでも食べろ!」

なんかめちゃくちゃな言い方されてるけど、まぁええか。二人の笑顔にふれているうちに、だんだんお腹がすいてきた。

「よし、その調子や。」

3人でゲラゲラ笑って、散々村上さんのノロケを聞き、横山さんの真っ赤な顔を堪能し、楽しい時間が過ぎていった。

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作者名:orange | 作成日時:2022年12月27日 14時

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