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「やっぱり何かしてくる人がいましたか?」

「ん〜…嫌〜な視線は一課の方から常に感じてます。」

「ふふ。もう気づいたんですね。」

「結構露骨やと思いますけど。」

「確かに。うちの課長は男の嫉妬は怖いからなぁって言ってました。」

「嫉妬って…。来たばっかりで何ができるでもないのに。」

久しぶりの会話は止まることがない。何でも話したくて、聞いてほしくて、楽しくてウキウキとする。

「やっぱりヤスの作った作品はすごい。これがプロですね。」

「はい。なんかもう、圧倒されますね。」

「あ、こんな形思いつきます?てか、こんなん使いにくいやん。」

「(笑)!飾るためのものじゃないんですか?」

「だって器ですよ?こんなん汁垂れてくるって。」

「(笑)」

「二人ともうるさいよ。」

他の見学者と話していた先生が苦笑いをしながら注意をする。

「大倉は、実用的にしか考えへんからな。」

実用的な大倉さんと、芸術家の安田先生。二人がとても仲がいいというのが、なんだか不思議。

「丸山さん、どうでしたか?」

「素敵でした!特に、明るい空の色をしたお皿のシリーズ。」

「ああ!あれか。」

「先生の爆発しそうな発想が、あの空色一色に凝縮されてて、ものすごく力のある作品だなって。」

「…感動。丸山さんに俺の器の紹介文を書いてほしい。」

「そんなん…」

「はは。赤なった。丸山さんはほんまに可愛らしい人ですね。」

「え?」

「ヤス。そういうのやめろ。」

「なに、大倉。お前も思ったことは口にしたほうがええで。」

「ふん。してるし。」

「ほお。ムキなって珍しい。」

「うっさい。」

「なんか…」

「え?」

「お二人とも本当に仲がいいんですね。」

「…そう見えます?」

「はい。羨ましい。」

「丸山さんも一緒に仲良くしましょう?」

先生が急にぎゅっと抱きついてきた。かわいい見た目と違う、がっしりした体に思わずドキッとする。

「ヤス!離れろ!!」

先生が大倉さんに思い切り引っ張られて離れていく。

「わ〜、丸山さんて、なんかやらかい。」

「え…それは太ってるという…」

「ちが〜う、全然太ってないのにやらかい。優しさが体にも出てるんやぁ。」

ほんわかとした口調でそんなこと言われたら…

「はは!また真っ赤や!かわいらしいなぁ、もー!」

先生と大倉さん。3人で話すと本当にリラックスしている自分を発見する。こんなふうに自然に過ごせる自分。ちゃんと居てたんや。

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作者名:orange | 作成日時:2022年12月27日 14時

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