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「ふふっ。マルちゃん、ほんとに男前だけど、かわいらしいね。男の人といる感じがしない。」
「えと…」
「あ、ごめんね。褒めてるよ。いや、褒めてない？」
「ふふっ…ありがとうございます。」
「優しいね、マルちゃんは。あんまり抱え込んだらダメだよ。」
「抱え込んでなんてないです。いつも…忠義が…ｳｯ…」
「あぁ！しまった。ごめんごめん。なに？女の人の気配でもした？」
「…」
「えっとー、当たり？」
「はぃ…」
「そうか。ちゃんと説明して、マルちゃん。」
「あの…」
「ちゃんと説明する！」
「はい。」
泣き出しそうになりながらさっきあったことを話す。瞳さんって…お姉ちゃんみたいやな。そういや僕、あんまり女の人に縁がないから、こういうのすごく新鮮。真剣に聞いてくれて、話終えるとニコッと笑う瞳さん。
「マルちゃん、大丈夫。」
「え？」
「大丈夫よ。浮気とかそんなことじゃない。飲み会でふざけて女の人が出てしまっただけ。」
「でも…でも…一緒に寝てるって…」
「酔いつぶれてたのよ。一緒に寝てる…なんて、そんなこと普通言わないでしょ。人の携帯に彼女気取りで勝手に出るなんて、ほんと、非常識な子ね。いや、彼女でも携帯に勝手に出るなんてしないわ。」
「…」
「色々考えちゃった？」
「え…」
「忠義くんには女の人がいい…とか、普通の幸せをつかんでほしい…とか。」
「あ、はい。なんで…」
「ふふっ。私、これでも恋愛小説家よ。」
「あ…」
「世間で認められないって言うのは、思っている以上に負担になる。たとえこれから法律で守られたとしても、そんなすぐにすべてに受け入れられるわけじゃない。子どもも難しい。不安になるよ。」
「はい…」
「でもね、だからこそ、忠義くんはマルちゃんのこと、ほんとにほんとに大切にしてるよ。」
「ｳｯ…」
「マルちゃんもそうでしょ？」
「ｳｯ…忠義が…」
「うん。」
「忠義がいなかったら、生きていけない…ｳｯ…」
「よしよし。忠義くんもそう思ってる。」
「でもっ…」
「心変わりなんてしない。マルちゃんを見つめる目を見たら、そんなこと微塵も想像できない。」
「ｳｳｯ…」
「いきなり電話に女の人が出たからびっくりしたんだよね。落ち着いて考えたら大丈夫でしょ？」
「…ｳｯ…はぃ…」
「男同士だから、ほんとに些細なことが突き刺さってしまうよね。マルちゃんは特に繊細だから…。」
「そんなこと…」
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作者名：orange | 作成日時：2021年3月26日 22時
