想 6 (ページ33)

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橙サイド

「お前はほんまに甘やかされとる。」

惚気るつもりはなかったけど、忠義の優しさがどんなものか語りだすと止まらなくて、しぶやんにバシッと叱られる。

「ん～…だって優しいんやもん。」

「はいはい。どーでもえーわ！惚気がいつまで続くんかと思ってイライラしたわ。」

「えー！」

「ほれ、もう着くで。」

今日はしぶやんの紹介であの大野さんと会う。憧れの人やし、めっちゃ楽しみ。忠義も勉強するらしいし、家族ぐるみの付き合いが出来たらいいな。

「あ、大野さん！今日はよろしく…」

「あれ？」

「あ…」

「え！？あ、あの時の！」

「お前、知ってんのか？」

「いや、あの…」

「病院でお会いしましたね。」

「はい。え…すごい。あなたが大野さん…」

「丸山さんがあなただったなんて。そうか、隆平さんでしたね。ふふっ、甘いものご馳走しますよ。」

「わぁ、恥ずかしい！」

「なんや、知ってるんやったら話が早いな。」

「あなたのデザイン、見させてもらいましたけど、とても面白いと思います。」

「あ、ありがとうございます。」

「私のデザインも勉強されたと聞いてますが、色んな勉強をされているように感じました。」

「はい。」

「あとは経験かと思いますよ。このまま色んな所に出していきましょう。あなたの中に確固たるものがあるし、応用も効くし、とても自由だし、あとはもっと世間に出して行くことです。一緒に色んな所に出してみましょう。」

「…わぁ…！」

「え？」

「めちゃくちゃうれしいです！」

「ちょ…かわいいな…」

「え？」

「あの、大野さん…」

「はい？」

「あの、一応言うておきますけど…マルはもうパートナーがいますので…」

「あ、あの人かぁ。男前でしたもんね。でも、全力で頑張ります。」

「あかんあかん！そういう意味で会わせたんじゃないから。」

「でも…運命でしょ。」

「ちゃいます。それやったら俺も…」

「あの…」

「あ、丸山さん、これから一緒にお仕事させてください。機会を作って切磋琢磨していきましょう。ヨーロッパの市場に詳しい人も紹介します。」

「え、ありがとうございます！」

「じゃあ、病院よりもおいしいケーキがあるカフェに行きましょう！」

「え！？いいんですか！？」

「いいよぉー！いいねぇ！」

「大野さん。ダメですよ。」

「くー！どうしてもっと早く紹介してくれなかったんだよ！」

「運命です。」

「かー！！くそ！」

「お、大野さん？」