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橙サイド
穏やかで満たされた年末年始を終えて、いよいよ合併に向けて動き出す。今日は社長と僕と信ちゃんにゆうちんも忠義の会社に行くことになっている。
「今日はよろしくお願いします。」
「うん。緊張するわ。受け入れてくれるかな。」
「ふふっ。どうかなぁ?」
「え〜!怖い!!」
「大丈夫大丈夫。ほら、行くよ。チュッ。」
会社に着いてそわそわしてる僕のことをしぶやんは散々からかってきたけど…
「まぁ、大丈夫や。しっかりやってこい。」
出かけるときになると、そう言って背中を押してくれる。こういうとこ、ほんまにこの人は魅力的やねん。
「丸山さん、よろしくお願いします。」
忠義のオフィスに着くと、社員のみなさんにあいさつをする。社長に続いて紹介されてから、自分が中心となって進めることを伝える。
「皆さんがいい環境で過ごせるように頑張りますので、どうぞよろしくお願いします。」
みんな目が生き生きしてる。いい会社なんやな。
「丸山さん、こちらです。」
亮ちゃんが社内を案内してくれる。デザインを考えているチームに章ちゃんもいた。
「お邪魔します。」
部屋に入ると章ちゃんが近づいてきて、こそっと話しかけてくる。
「マル、緊張してる…?」
「メッチャシテル…」
「ふふっ。」
説明を受けながらデスクをまわる。どれも力作や。感心しながら見学していると、新しいデザインの見本らしきものが目に入った。
「これ…」
「あ、新作のセーターです。試行錯誤してようやくこの形になりました。」
「あなたのデザインですか?」
「は、はいっ!」
章ちゃんの横で固まっているデザイナーさんに声をかける。
「これ、ここのデザインが面白い。さりげないのにインパクトある。」
「へ?」
「努力したね。」
「あ…あの…すごく自分の中で考えてたデザインで、やっと形にしてみて…」
「うん。きっとみんなに好かれるよ!」
「あ、ありがとうございます!」
「いえいえ。安田さん、どれもすごくいいデザインですね。やっぱり大倉さんの所、みんなが輝いてるわ。」
「ありがとうございます。うれしいです。」
にっこり笑ってくれた章ちゃん。こっちも嬉しくなって微笑み返す。
「マル、どうや?」
他の部署を見ていた信ちゃんが、デザイナーさん一人一人と面談するためにやってきた。
「うん。やっぱりすごいと思う。」
「そうか。すんません、みなさん。私にも話聞かせてくださいね。あ、作品も見せてください!」
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作者名:orange | 作成日時:2021年3月14日 20時