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『…こんな、何?』
そう問えば此方を睨みつけ唸り歯を食いしばりながらガシガシと荒々しく頭を掻き回す。突然のあらぶりに怪訝な顔で見ていると、今まで固まっていた残りの4人が我に返り話し出す。
「姉御!!すっげぇーっっ綺麗!!!」
『え、あぁ、ありがとう竹谷くん。お世辞でも嬉しいよ』
「お世辞じゃなくて本心です!!」と尻尾が付いていたら千切れる程振っていたであろうと思える程の気迫で言う竹谷くん。とりあえずそのキラキラ輝いた目をどうにかしてほしい。眩しいし物理的に当たって痛いなど思っている時、今度は不破くんと久々知くんが言う。
「おはよう菊華さん。最初誰なのかわからなかったよ、自分でお化粧したの?」
『おはよう不破くん。いや、愛子にやってもらった。あの子の方が上手いから』
「もしかして、菊華さんが勘右衛門の任務の相手なのか?」
『そう。まあ、詳しくは話せないけど』
「それにしても、本当別人みたいだよね。女の子は化粧で変わるっていうけど菊華さん見たら頷ける!」
久々知くんの後ろから身を乗り出し顔を穴が空くほど見つめ頷く尾浜くん。これは貶されてるのか?それとも誉められてるのか?まぁ、どうでもいいけど早く出発したい。
『…尾浜くん、そろそろ』
「あ、そうだね。んじゃあ行ってくる!」
門から出て歩いて行く時、後ろから竹谷くんの声援と何らかの喚く声が聞こえてきたが振り向くことなく忍術学園から遠ざかり、そして今に至る。
「でも、俺は素顔の菊華さんの方が好きだなァ」
『それはどうも』
「あっ、今お世辞だと思ったでしょ」
『お世辞しかないでしょう』
「そんな事ないよ。そんな嘘つかないタイプだし…俺さ、特に女の子のしかめっ面というか怪訝な表情が好きなんだよね」
『…は?』
思わぬ暴露に思わず止まり尾浜くんの方を見て眉を寄せる。当の本人はいつもの笑顔で「そうそう、その表情!」と私の顔を指差しながら言う。……マジかコイツ。
『…そういう趣味があるの?』
「どうだろう?でもさ、男なら誰しもグッとくると思うよ?こう、女の子の苦悩の顔とか羞恥心に駆られてる顔とか何かに抵抗してる顔とか。なんか心擽られる感じ?」
『いや、聞かれても…。でもそれなら私より愛子のそういう顔の方がいいんじゃない?』
「ん〜…確かに愛子のそういう顔も見てみたいけど、愛子より菊華さんの方が何かクるんだよね」
意味分からない発言に再び顔をしかめた。その時、数人の人の気配を感じ取る。
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ひょぎ(プロフ) - すごく面白いです!主人公の設定が私の好みです! (2023年4月25日 0時) (レス) id: c91982745d (このIDを非表示/違反報告)
来夢(プロフ) - Megumiさん» 忍たま小説書いてます!良ければ一度見に来てください! (2021年6月1日 22時) (レス) id: 432cdd0ce8 (このIDを非表示/違反報告)
Megumi(プロフ) - とても面白かったです!続きがとても気になってます!ぜひお願いします! (2021年6月1日 19時) (レス) id: 2b7b46d822 (このIDを非表示/違反報告)
来夢(プロフ) - とても面白いです!!お願いです、更新して下さい!!お願いします!! (2020年9月27日 17時) (レス) id: cfa50364df (このIDを非表示/違反報告)
obipurei(プロフ) - おもしろいです!更新してくださるのを期待してます!! (2020年2月14日 18時) (レス) id: 186218a2f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:作之助 | 作成日時:2016年5月12日 0時