３４話 ページ35
─ノースside─
黙り込んだままのエースたちに首を傾げる。
濡れたのが嫌だったのかな、能力者水苦手だし。
それか思ったのと違った？期待してくれたのかもしれないけど、エースたちに比べたら大した能力じゃないしなぁ。えー、なんか申し訳ない。
宴中にこんな静かになる事早々ないよね。邪魔したくなかったんだけどな。
『あー、つまんなかった？』
「！ ちげぇ！！逆だ！！凄すぎて驚いちまっただけだ！！」
『わはは、エース焦り過ぎ。もっと凄いの見せてあげるよ』
パンッ
『水魚 "
ぶわっ
水魚は作り出す魚もサイズも自由自在。大きい程消費する体力も時間も増す。
生き物相手に使うことはないけど水風船の威力もその分上がる。樽の中に水魚を泳がせて破裂させるとサイズが小さいもので穴が開く程度から大きいもので木っ端微塵になるくらいには。
意外と戦闘力高い系の能力だなこれ。モノは使いようって言うしな。
私は陸海空すべての動物が好きだし綺麗なものも好きだ。だからこの能力を気に入ってる。
「でっけェ...！！」
「うひょー、すげェな！！」
「恐いくらい綺麗だねぃ」
「価値がどうとかいう話じゃなかったな」
隣から聞こえる落ち着いた声に視線を向ければお酒に潰れてたイゾウさんが復活してた。
もう大丈夫なのか聞けば目を細めながら頷く。おれの負けだな、と頭を撫でられる。
ホントに綺麗な人だなぁと少し見惚れてたら後ろからぐいっと引っ張られた。
誰かなんて分かり切ってるから、全体重かけて倒れてあげた。少しも後ろに倒れてくれなかったけど。
「すげェなー！ノース！！おれこんなキレイなの見たことねェよ！！」
目をキラキラさせながら褒めてくれるエースに頬が緩む。私の兄が可愛すぎる。
倒れたせいでエースに膝枕して貰ってる態勢なんだけど最高に幸せ。手を伸ばしてエースのほっぺに触れる。あったかくてぷにぷにで気持ちい。
「？なんだよ」
『ふふ、何も〜。そうだ、白鯨さわる？』
「いいのか？さわる！」
エースに触れていた手を白鯨に向ける。空を泳いでいた白鯨がゆっくりこっちに向かってきた。
水魚で作った子たちは私が思うように動かせるんじゃなくて自由に泳いでる。私が呼べば来てくれるだけ。
オヤジさんくらい巨大な白鯨は目の前に来れば圧巻で、エースも不死鳥さんたちも少しビビってる。あは、襲ったりしないのになー。
皆そろーっと手を伸ばして白鯨に触れた。
▽
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作者名：えると。 | 作成日時：2022年9月2日 22時
