３１話 ページ32
─ノースside─
ワーワー、ガヤガヤ、ガッシャーンって感じに騒がしくて楽しい宴の真っ最中。
初っ端にオヤジさんから紹介されて今いないクルー以外は全員私を認知した。海軍ってよりもエースの妹ってのが信頼を得たらしい。オヤジさんが許してるのが７割くらい納得してくれた理由だろうけども。
エースの隣をキープしつつちまちま食べてます。サッチさんがここの料理長らしくとても美味しい料理を持って来てくれる。
お土産に関して一番喜んでくれたのがサッチさんかも。食費浮いたわ、サンキューって。この人数だもんな、察し。
「これもどうだ？」
『あ、お肉はエースにお願いします。私肉と魚料理苦手で...』
「え、そうなのか！？」
「昔からだよなー、まだ苦手だとは思ってなかったけどよ。ステーキとか焼き魚とかのまんまのヤツが苦手ってだけで肉団子とかツナは食えっからそういうの出来るか？サッチ」
『いやいや、スープとパンがあれば十分なんで。わざわざ作ってもらうのは申し訳ないです』
「気にすんな！どーせまだまだ追加すんだ、食べきれなくてもエースが食うだろ？ちょっと待ってな」
『...ありがとう、ございます』
「おう！」
少し雑に頭を撫でた後、調理室に戻ってった。
第一印象はリーゼント。第二印象は、太陽みたいに優しい人。
良い人はたくさんいるけど、たまにこういう人に会うんだよな。底抜けに明るくて、素直で、優しい人。優しすぎる人。
うあー、とかううー、とか唸りながらうずくまる。あの人を思い出して重ねてしまったからとても複雑な気分。
「ノース、お前サッチみたいな奴が好きなのか！？」
『え？何で？』
「だっておれお前が照れてるとことか初めて見たぞ！？」
「うわー、趣味悪いねい」
「良い奴だけど、意外だなァ。お前さんはエースに似た男がタイプだと思ったよ」
『エースが一番好きですけど？』
「あ、そこは揺れねェのな」
当然。エースが一番。最高。私の兄が世界一！！
というか不死鳥さんとイゾウさんまでエースのぶっ飛んだ思考にノらないで欲しい。絶対分かってて揶揄ってるじゃん。
別に照れてない、唸ってるだけで。眩しいなーとは思ったけども。
『好きな人のタイプなんてないですよ。ちょっと初恋の人を思い出しただけです』
隣でまだ嘘だろ、なぁ、ええ？とかブツブツ言ってるエースは置いといて二人にそう言った。手持ちのお酒を飲み干して一息吐けば私の周りだけ静かになった。
なんでだ。
▽
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作者名：えると。 | 作成日時：2022年9月2日 22時
