２６話 ページ27
─ノースside─
「なぁ、そろそろ離せよ」
『今鳥やろ、じゃないや、不死鳥さんに見せつけてるから待って』
「あ！？マルコいんのか！？離せ！！離せえええ！！」
『やーだ。不死鳥さんの顔面白いから』
「仲直りしたんならもういーだろい。お前にはオヤジに会ってもらう、ウチに乗るなら礼儀だ」
『んー...よし、充電完了！』
静かに入って来た不死鳥さんにピースしてニッコリ笑えばこめかみがピクピク動いてて面白かった。
ばっ、と名残惜しくもエースから離れて立ち上がる。足先にコツンと何かが当たって見れば鍵が閉まったままの枷が。
笑いながら拾い上げてポケットにしまえば「後で聞くからな」と不死鳥さんに凄まれた。チッ、見逃してくれないか。
不死鳥さんに見られたのが相当恥ずかしかったのか顔を赤くしてるエースの名前を呼べば睨まれた。そんな表情も可愛い。私の兄が最強だ。
『私の引いて来た小舟に乗ってるのお土産だから引き上げてくれる？』
「ん？...あれ全部か？随分持って来たんだな」
『うん、みんなの分だからね』
「サンキューな」
お礼を言ってピョンっと小舟に飛び降りたエースを横目にハンカチを取り出して口内に溜まってた血を吐きだした。
まだ止まってない。めちゃ鉄の味。まずい。
「止まらねェのかよい」
『いつもどーりなんでヘーキです』
「いきなり敬語は気持ち悪いよい」
『エースの兄でここのクルーなら敬語くらい使わないと失礼じゃないですか。敵視されてないみたいですし、私が悪態つく理由もないですからねー』
「そうかい。案内する、付いて来い」
『はーい』
案内されなくても白ひげさんの居場所は分かってるんだけどね。私が甲板に上がった時に覇気向けられたもん。視認されてなかったからか平気だったけど、目の前にして私耐えられるのかなぁ。
覇気使いはたくさんいても覇王色の覇気が使える人には早々会わないからな。会ってても誰が使えるとか知らないしなー。
白ひげさんの覇気に耐えられるかどうかは正直めっちゃ気になる。覇気で気絶してみたい。
前を歩いてた不死鳥さんが足を止めたから私も止まる。目の前にはデッカイ扉が。
コンコン
「オヤジ、客だよい」
「あァ、入れ」
扉の前にいるだけでこの威圧感、すごいな。
お酒と病院の匂い。病気か、老いか、長年蓄積されたダメージか。
「テメェか...エースの妹ってのはァ」
『お初に、"白ひげ"エドワード・ニューゲート。エースのオヤジさん』
▽
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作者名：えると。 | 作成日時：2022年9月2日 22時
