２４話 ページ25
─エースside─
小腹が空いてサッチに飯をねだりに食堂に来てた。またか、と呆れながらも作ってくれる良い奴だ。
昼飯前だから少なめな、と出されたチャーハンを感謝を述べた後に食べ始めた。
食いながらサッチと駄弁ってれば上が少し騒がしくなった。
「なんかあったのか？」
「召集がかかんねェから大したことじゃねェだろ。それより食いながら喋るなよ」
「んー...」
妙に気になって食べるペースが落ちた。何か嫌な感じがする。
相手が海軍でも軍艦一隻ならどうもない。数隻なら召集がかかるはずだ。少なくとも手の空いてる奴らに呼びかけくらいはある。
何をこんなに不安がることがある。折角のサッチの飯がいつもより美味く感じねェ。
「上に居る奴全員集まったな。やっぱ何かあったんじゃねェか？」
「エースがそんなに気にすんの珍しいなァ。心当たりがあんのか？」
「いや、ねェけどよ...なんか嫌なんだよな」
「じゃあオレが見て来てやるよ。食い終わったら片付けろよー」
「あぁ、わりィなサッチ」
ガララッ
「うおっ！！マルコか、なんか用か？今から上に行こうと思ってたんだけどよ」
サッチがドアを開けようとしたと同時にマルコが入って来た。急いでいる様子はねぇ、けど、苛ついてるように見えんのはオレだけか？
手を止めて二人を見てれば目が合った。真っすぐこっちに向かって来るマルコは、まるでオレに用があるみたいだ。
上の騒ぎをマルコが知らない訳がねェ。なんならさっきまで上に居たはずだ。
何故、ここにいる？
理由のない焦りが不安を煽って冷や汗が垂れる。
敵がオレとの決闘を要求したのかもしれない。オレの昔の友人が訪ねて来たのかもしれない。
納得できる、安心できる理由を考えて、そんな単純な話じゃないとマルコの表情で悟ってしまった。
「エース、お前妹が居たのかよい？」
ガシャンッ！！
「来たのかっ！！アイツが！！何でだよ、アイツは今海軍だろ！？」
「落ち着けよい。もう一度聞くぞ。"不殺のノース"はお前の妹かよい」
「...そうだ。オレの、双子の妹だ。居るんだな、アイツが今、この船に」
マルコが頷く前に食堂を飛び出した。
あんなにザワついていた気持ちが原因が分かった途端、冷たいくらいに落ち着いた。
甲板に出れば、クルーに囲まれるアイツが見えた。
枷を付けられてんのに吞気なその笑顔が昔から大嫌いだ。
オレを見つけて名前を呼ぼうとするアイツに拳を振りかぶった。
ゴッッ！！！
▽
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作者名：えると。 | 作成日時：2022年9月2日 22時
