自由に生きようよ、ね【ONEPIECE】 (ページ22)

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２１話ページ22

─ノースside─

それから５年後、私が生まれた。

胎内記憶って分かるかな。母さんのお腹の中にいる時の記憶なんだけども。私はそれを持ってる。人よりも何倍も鮮明に覚えてる。言葉なんて知るはずのないまだ生まれてもない赤ん坊なのに。

だから母さんの声を知っているし、誰かがずっと私を呼んでいる泣き声も。じーちゃんからダダンに引き渡されて、私が初めて一人で海に行ったあの日、ウミと出会うまで。

私は海から声が聞こえてることを不思議にも思わないで信じたし、頻繫にウミに会いに行くようになった。エースやダダンたちに言っても何言ってんだって一蹴されたけど、私が行くとウミが喜んでくれるのが嬉しかった。

海兵になってからも仕事終わりや休憩時間に会いに行って、階級が上がって単独行動が許されたら一人用の船でウミが仕事先に運んでくれたりした。軍艦より早いのはウミのおかげ。他の人いたらウミと話せないしね。

今だって居場所を知らないエースの所に向かえてるのはウミが海上の現状を全て把握してるから。どこで誰が争ってるだとか、どこにどの海賊船があるだとか、どこで嵐が発生してるだとか。

ウミは私が"声"を聞いて会話してくれる唯一の存在だから甘やかしてくれるけど、私はウミのその能力を利用してるみたいでちょっとだけ苦しい。

『ん？あー...いーの、じーちゃん私に甘いから。一番怖いのは赤犬さんかなぁ』

じーちゃんは怒ってるだろうけどきっと分かってくれる。問題は赤犬さんよ。仕事放り出して何しちょるんけー、って絶対怒鳴る。あの人とはホントに相容れないんだよね。まぁ今回は私が完全に悪いんだけども。

『思ったんだけどさー、全世界を敵に回してもウミが味方ならどうにかなりそうだよねー』

『もしもの話じゃん。全世界が敵なんてめんどーだよ。んで、どー思う？勝てそ？』

『...わはは、じゃあ私最強だ』

仰向けに寝っ転がって空を見る。天気は快晴、弱風、文句なしの旅日和。あんど昼寝日和。

『すぅ──...すぅ──...』

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─Noside─

ノースが乗った船は確かに白ひげ海賊団のモビーディック号に向かっている。

今から１時間と１３分後、見張り台よりノースの船と３隻の小舟が視認される。甲板に隊長数名が集められ攻撃態勢を保ったまま動向を窺う。その間もノースは爆睡中だ。

《ったく、寝すぎだろ。殺されんぞ》

誰にも聞こえない、ノース以外聞こえない"声"が波音に混ざった。

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