自由に生きようよ、ね【ONEPIECE】 (ページ21)

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２０話ページ21

─ノースside─

旅に出て二日目。昨日は意気込んだ瞬間寝落ちして起きたらお日様が真上、寝不足だったから仕方ないよね。漂流してからだいたい半日かな、今回はゆっくり行くつもりだしこんなもんか。

『あとどんくらいだー？』

『んや、急いではないんだけど。お土産がダメになる前に会いたいんだよねー』

『いーよ、ゆっくりで。気楽に行こ』

船に繋げた小舟(×３)にはそりゃあもう大量の食糧と酒が積まれてるんスよ。ちゃんと冷凍保存できる容器に入れた上で断熱シートを被せてる。あの白ひげ海賊団にアポなし訪問だからね、手ぶらで行ったら殺されちゃう。まぁ海軍ってだけで殺されるかもだけど。あは。

『エース、怒ってそうだなぁ。心当たりがありすぎる』

『...コノヤロー、笑うな』

波を作りながら笑うウミを叩けば静かになった。と同時に海流が早くなった。どうやら拗ねたらしい、子供か。お土産はしっかり括り付けてあるから落ちる心配はない。もし落ちたらウミに拾わせる。

『ねー、ウミ』

『見つかった？私以外にウミの"声"が聞こえる人』

『...ま、時間はいっぱいあるし世界は広いしきっと見つかるよ。今は私がいるからさ』

ウミは海だけど海じゃない。２４年前に海に愛されて飲み込まれた人間だ。

そうだなぁ、エースの所まで時間もあるしウミについて話そーか。

ウミは東の海(イーストブルー)出身でいたって普通の男の子。カナヅチで泳げなくても海が大好きで毎日浜辺で遊んでたんだ。

５歳の頃、いつものように浜辺に行ったら大きな貝が落ちてた。白くて透明っぽくてキラキラしてて、好奇心旺盛な子供なら誰だって開きたくなるような見た目の貝。ウミ自身がそう思ったんだから当然開けた。子供の弱い力でも開いてしまう程軽かった。

中に入っていたのは大人の拳サイズの真珠が一つ。

まん丸で凹凸が一つもない綺麗な宝石。手に取ってみれば案外柔らかくて貝の身そのもの。無意識に一口齧って、飲み込んだ。

食べた事のない味だけどすごく美味しかったから全部食べちゃった。そして突然の高波にのまれた。海流に乗ってぐるぐる回りながら海底に沈んでった。

目が覚めたら海の中を漂ってたんだ。海中で息が出来る上にカナヅチだったのに自由に泳げた。

でも、楽しかったのは最初だけ。何かが肌を擦る感覚、目の前で人を襲う海王類、戦う海賊船と軍艦、陸に上がろうとすれば誰かに引き戻される現実と、

誰も自分の"声"に応えてくれない絶望。

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