わがままコレクション ページ43
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「たくちゃん♡」
相変わらず八代にデレデレとする犬飼。
普段の八代は「やめてよ」と言いながらも満更でもなさそうな顔をするのだが…………
「Aちゃん、横見て。俺殺される」
………今日だけはそうもいかないようだ
「やだなぁ、梅原さんなにそんなぷりぷりしてるんですか！」
「ぷりぷりとかそんな可愛い表現じゃないって！今にも人殺しそうだよ……ほら、俺とか……」
「流石に殺しまではしないから」
「やばい！半殺しにはされるかも！！」
「物騒だよたくちゃん！！！」
今日のメンツは犬飼、八代、そして梅原。
2人きりでも、どれだけ人数がいても、八代拓がその場にいれば犬飼はもう八代拓の隣を離れない。
そこに居合わせた八代以外は人物はメラメラと嫉妬心を芽生えさせる。
……仕方ないことである。
「俺の方がマロンに似てる」
「それはないですって！！！ずっと言ってるじゃないですか！！梅原さんはマロンくんじゃなくてミルクちゃんです」
「なんでもいいから、Aちゃん俺の膝から退かない？」
ミルクちゃんと言うのは母方の祖母の家で飼っている犬の名前だ。
梅原はヨシヨシされる八代を見ては「俺の方がマロンに似ている」と言いはるが「それはない」と悉く振られている。
それでもって「ミルクちゃんは私に懐いてくれているから！！」と用無しだと言わんばかりに八代拓贔屓をする。
ミルクちゃん。一度でいいから彼女に冷たい対応をしてくれ、と願ったこともある程
八代拓の立ち位置は梅原もが羨ましむ立ち位置らしい。
「………八代より俺の方が可愛いだろ」
「ふふ、何？ヤキモチですか？」
可愛いですねぇ〜とわしゃわしゃ頭を撫でてやると満足そうに笑った梅原。
「っ、かわいい！梅原さんが犬見えてきちゃいました……」
「俺の方がマロンに似てる？」
「ううん、それは拓ちゃんの方が似てます」
「はー？」
そんなやり取りをしているが、八代の膝の上からは動いていない。
しかし、きゃっきゃっと梅原を甘やかす犬飼も、されるがままだがいつもより嬉しそうに笑う梅原も楽しそうだ。
そんな2人をみて八代は静かに写真に収めた。
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作者名：凜 | 作成日時：2022年11月13日 21時
