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しばらくして戻ってきた俊樹くん。
「……A体調悪い？」
中々顔を上げない私を心配してそう声をかけてくれる
本当にいい先輩である。
「んーん、元気です」
「じゃあ何で顔上げないの(笑)」
「前髪切りすぎたの」と手で前髪を隠しながら顔を上げた
「可愛い理由じゃん、みせてよ」
「いやだ」
広くはない楽屋を「やだ」と逃げ回る私と「みせて！」と追いかける俊樹くん。
側から見れば逃げるネズミとそれを追いかける猫だ
数分に亘る攻防戦も遂に終幕
「つかまえた」
「やだぁ」
「俺のことまっすぐ見て、」
そう言いながら長らくガードしていた私の手を優しく、少し強引に退かされ、そのまま両手を頬に添えられる
「ほーら、可愛い」
何故だが目を逸らせない、
近い距離に思わずドキッとしてしまう
たった数秒のはずなのに、いつもより何倍も時間がゆっくりに感じた
……先に目を逸らしたのは俊樹くん。
「あー、だめだ！
そんな目で見られたら持ってかれそうになる」
「なにそれ、どんな目？(笑)」
「ほら、Aって人より目の水分量が多いからキラキラしてんじゃん」
「自分じゃわかんないですよ(笑)」
さっきの空気が嘘かのようにいつも通りの雰囲気に戻った。
「ねえ、Aさっきの照れた？」
「……照れてない」
「うそつけ、耳真っ赤だよ」
「気のせいです〜」と言いながら少し熱を持った耳を塞ぐ。
「本当に可愛いよ」
「私は早く伸びろって思ってます」
「えー、なんで？俺はこの方がAの目が見えやすいからこっちの方が好き」
また頬に手を添えられて見つめられ、思わず目を逸らす。
「あ、また照れた」
「……今日の俊樹くん意地悪だ」
「Aが可愛すぎるせいだよ」
そうこうしているうちに、スタッフさんに呼ばれる。
「Aの写真あげていい？」
「やめてやめて！伸びるまでダメです」
「載せちゃった」
「もー！」
「大丈夫、本当に可愛いから」
前髪切りすぎたらしいの文字と共に添えられた犬飼の写真にTwitterでは
「可愛すぎる」
「いつもより幼く見える🥺‼️」
「ありがとう増田俊樹」
と増田俊樹の言う通り、いい意味で荒れていたとか。
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作者名：凜 | 作成日時：2022年11月13日 21時
