照らし出してよ輝く笑顔で ページ19
.
夕方、帰宅ラッシュ、賑わう駅前。
そこに立っているだけでもまるで映画のワンシーンのようになる。
口を開けばきゃっきゃと少々騒がしいが、黙っていれば流石は犬飼と言ったところだ。
夕方といっても18時半。冬は陽が沈むのが早い。
月明かりに照らされる彼女はいつも以上に魅力的で思わずひゅっと息を呑む
「Aちゃん、おまたせ」
あたりはクリスマス一色。
犬飼の待ち合わせ相手は恋人
……ではなく
「信長さん！」
本日の犬飼の待ち合わせ相手は島��信長。
犬飼が声優という仕事を始めてしばらく経った頃、接点が少なくあまり関わったことがなかった頃に真剣な顔持ちをした犬飼から声をかけられ、少し身構えたら、
「……信長って本名ですか？」
そう話しかけられたことから、2人の距離は段々と縮まっていったというのは有名な話だ。
「すっごい嬉しそうな顔してくれるじゃん」
「へへ、だってうれしいですもん」
誰もが思わず振り返ってしまう程の美人な彼女が、自分を見つけた途端嬉しそうに駆け寄ってくるのはかなり優越感らしい。
「信長さん欲しいの決まりました？」
「うーん」
そう、今日は島��の誕生日。
誕生日プレゼントが浮かばない、と本人と一緒に買い物に来たのだ。
「信長さんから似合いそうー！」
「これAちゃん似合いそう」
「だめだって！信長さん欲しいものないんですか？」
「えー、Aちゃんが決めてよ〜〜」
と、来たはいいものの島��は彼女の提案をさらりと流す。
「決められないから来たのに！真面目に考えてくださいよ！！！」
「今物欲ないんだよ本当に」
むっとした顔をしたAに「あー、じゃあご飯行こ！お腹すいた」と言えばパッと笑顔が咲く。
それに釣られて島��もクスりと笑みをこぼした。
コロコロと表情が変わる彼女は見ていて飽きないだろう。
犬飼曰くここの近くにおすすめのおしゃれなレストランがあるらしい。
そこに入り適当に注文をする。
「お店の中もクリスマスですね〜はや。」
「Aちゃん今年のクリスマスは何するの？」
「……秘密で！」
「ふはっ、秘密かぁ(笑)」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 782人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：凜 | 作成日時：2022年11月13日 21時
