三十六話 ページ38
「んで、どうなったの？」
女の人よりもしかしたらまつ毛が長いのかもしれないエペルがこちらをじっと見つめてきて来た。いつもはおろしている淡い紫の髪も一つに結んだだけの髪も結い上げ、唇にはヴィルさんのつてなのか薄いリップクリームをさせば、グッと大人っぽくなるのだから、つくづく女顔は目に毒だなと思った。
「どうなって、なにを？」
「だから、寮長さんのことだよ。スタンプ貰えたの？」
「ああ、でも寮長さんではなくて副寮長さんからだけどな」
あの事件以来、カリムさんは一応ジャミルさんと距離をとってもらった。やはり、ジャミルさんの行動は悲観を買うのであって、ジャミルさんの病室にお見舞いに来たのは俺だけだった。
「よぉ、元気？」
手にいっぱい大量のフルーツを抱えてやって来ると、俺の顔を見たジャミルさんはげっと顔を歪ませた。
「そんな顔しないでくださいよ。傷つきますよ、俺」
「実際、毒飲ませたじゃないか」
正論を叩きつけられ、ははっと苦笑いを零すとともに、手元のスイーツを一口サイズに切り分ける。ことあるごとに茶を飲ませた。まだ体の魔力の毒素が残っているのかたまに苦しそうにするけど、根気よくしつこいくらいに身体に優しい物を食べさせた。
「なんで、お前の魔法なら、俺のこと簡単に殺せたはずだろ」
そう尋ねられたAは一瞬何か迷う様子を見せた後、口を開いた。
「あんた、少なからずカリムさんのこと嫌ってたんだから、復讐くらいはさせようかな、と思ってな」
殺すのは流石にダメだが、と少し笑いながら言った俺にジャミルさんは目を見開く。
「それに、飯を食べるっつーのは、まだ生きたいってことなんじゃねぇの？」
そうだな、と小さく零したジャミルさんはやや困ったように笑った。
その件をエペルに伝えると、ははっと面白そうに笑った後、「まぁ、お疲れ様」と放った。
チラッとエペルを見るがやはりこいつやけに顔がいい。結んだ髪によっていつもは見えないうなじがあらわになっていた。よく見ると本当に女みたいだな、と思うと同時に、あっ！とエペルが唸るのと同時に身体を俺のほうにぐいっと乗り出す。
「ねぇ、A！僕と一緒にVDCに出ない？」
「ぶっ、ぶいでぃーしー？？」
「えっ、まさか知らないの？」
と驚いたように言うカリムを訝し気な視線で見つめると
「取り合えず、僕が詳しいこと教えてあげるから予選出て見てよ！」
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レオ - とっても面白いです。続きが気になります。 (1月4日 8時) (
レス) @page48 id: 8c9a5c91e3 (このIDを非表示/違反報告)
夕闇柳 - たまたま30話見ていてカリムがカルムになっていました。 (11月25日 8時) (レス) @page31 id: a9dd4c9262 (このIDを非表示/違反報告)
ウイ(プロフ) - ふぎょあ、完結されてるんですね…この作品、めちゃ好きです。まだ占ツクにログインしてなかった頃、読みまくってました笑 ねっとり様に届くか分かりませんが、更新、お疲れ様でした。ほんとに本当にこの作品がこれからも大好きです！！！！！！ (6月26日 7時) (レス) @page48 id: 154e73901c (このIDを非表示/違反報告)
ねっとり - 雨中猫さん» アカウントを作っていなので急遽この形ですが作者です。コメントありがとうございます。「命に嫌われている」素敵ですよね、番外編でも他の歌とかも書いてみたいので気長に待ってくれると嬉しいです (2022年2月5日 23時) (レス) id: ad0790befa (このIDを非表示/違反報告)
雨中猫 - 主人公ちゃんに命に嫌われている歌ってもらいたいです！ (2022年2月4日 19時) (レス) @page27 id: 79b86edfa1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ねっとり | 作成日時：2022年1月20日 16時
