一話 ページ3
いわゆる俺は『転生者』という分類らしい。
これはあくまでも自分の解釈だが、親友の田中がよくそういう系の漫画とか小説を読んだ姿を見た。俺も釣られて読んでみたのだが、最強の力とやら魔法やらには興味があった。といっても俺は一般の男子高校生。少女漫画のようにすれ違いの女子にウィンクでもすれば落とせるどころか、冷たい眼差しで見られるぐらいの容姿を持ち合わせている男だ。
多分、田中に誘われたバンドのライブで死んだんだろう。そのライブから以降記憶がプッツリと無くなっているからだ。めちゃくちゃダサい死に方をしたような記憶はあるのだが、現に俺は生きている。くよくよと考えても仕方がないため、数時間前、目の前でもの凄い速さで駆け回っている黒い馬を見ても冷静でいられた。
しかし、だ。
「コイツ……一体何なんだ……？」
そう零しながら俺は目の前に広がる馬のいない壊れた馬車とそのおそらく真下から力強く根を生やした植物を見ていた。
＿＿確か、俺はこの植物に襲われては馬車は転倒したはず？だとしたら俺は必ずしも怪我を負ってるはずなんだが…。
ぺらっと腹部のシャツをめくる。おそらく壊れたのであれば所々に多少切り傷があるだろう。しかし怪我をした血痕もなければその面影もない。それにだ、俺が起きた時には何故か馬車から少し離れた木の下で危険とは言えない状況下だったのも、不自然で仕方が無い。
何からなにまでも、理解が出来なかった状況に。
するり、ひんやりとした感触に背筋が痺れる。
その感覚の方へ視線を向けると腕にあの根が巻き付いていた。反射で今すぐ根を千切ろうとするが、この根、細いくせに千切れないのだ。いや根ではないな、性格に言えばツタだろう。所々に小さな花を咲かせたツタは、嬉しそうにAに力強くすり寄った途端、別のツタが伸び俺の眼前まで来ると、大量の花を咲かせた。
「うおっ！」
やや強引にその花を俺に手渡したツタは、告白の返事をまつ女子のようにユラユラと左右に動きながら俺の反応を伺っていた。もしかしたら、ここは魔法や神秘的なものが渦巻く世界なのかもしれない。美しくキレイな花を渡してくれたツタだが、俺の気持ちが晴れることは無い。
いきなり転生したと思えば、死ぬような事態に巻き込まれるし、色々とこんなことは遭遇したくない。
俺がその花を返そうと、ツタが生い茂る根に近づくと、いきなりその根が枯れた。
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レオ - とっても面白いです。続きが気になります。 (1月4日 8時) (
レス) @page48 id: 8c9a5c91e3 (このIDを非表示/違反報告)
夕闇柳 - たまたま30話見ていてカリムがカルムになっていました。 (11月25日 8時) (レス) @page31 id: a9dd4c9262 (このIDを非表示/違反報告)
ウイ(プロフ) - ふぎょあ、完結されてるんですね…この作品、めちゃ好きです。まだ占ツクにログインしてなかった頃、読みまくってました笑 ねっとり様に届くか分かりませんが、更新、お疲れ様でした。ほんとに本当にこの作品がこれからも大好きです！！！！！！ (6月26日 7時) (レス) @page48 id: 154e73901c (このIDを非表示/違反報告)
ねっとり - 雨中猫さん» アカウントを作っていなので急遽この形ですが作者です。コメントありがとうございます。「命に嫌われている」素敵ですよね、番外編でも他の歌とかも書いてみたいので気長に待ってくれると嬉しいです (2022年2月5日 23時) (レス) id: ad0790befa (このIDを非表示/違反報告)
雨中猫 - 主人公ちゃんに命に嫌われている歌ってもらいたいです！ (2022年2月4日 19時) (レス) @page27 id: 79b86edfa1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ねっとり | 作成日時：2022年1月20日 16時
