三十一話 ページ33
「男って怖いねぇ〜」
と手をヒラヒラさせるフロイドに呆れてしまうが、もしそうだとしたら悪いことだが利用しがいがあるのかもしれない。
「もしそうだとしても、どうすんだ？いっそ振っておいた方がいいのか？」
「ん〜、泳がせておいていいんじゃない？今は。あのウミヘビちゃん、ラッコちゃんに敏感だからねぇ〜…。多分、Aのことを逐一調べると思うよ。自分に害を与える存在か、なんなのかを、ね」
「……なるほどな」
「いい？危険だと思ったらすぐオクタヴィネルに帰って。俺からアズールに言っとくから」
フロイドにしては真剣な声で俺を鋭く見つめることに、一瞬生唾を飲み込むが、俺は強気の態勢を崩さない。
「多分、俺に手を出そうとすんならまずこいつらに副寮長さんは潰されるだろうなぁ」
シュルル、と俺の腕に巻き付くツタたち。未だにフロイドを警戒しているのか膨大な魔力と殺意がそこらへんにフヨフヨと漂っていた。
「でも、人目がいるところじゃ上手く使えないでしょお？」
「ああ、でも。隠密に関してはピカ一だ。これだけは言っとく、あの副寮長さんそろそろ動くぞ」
ふぅん、と面白そうにフロイドは首の関節を軽くゴキゴキと鳴らす。「あ、でも。Aが出来るからってあんま下手に動かないでよぉ〜？」若干本気に俺に釘を刺し、フロイドは自室から出ていった。
副寮長さんはあんまり仲良くしたくないほうだ。最初の頃のアズールと同じように胡散臭い上に猫かぶりと見える。結構俺に好意を持ってくれてるカリムさんにここ数日近くにいたが、あのジャミルとかいう副寮長さんは一行にボロを出そうとしない。
しかし、一瞬だけ。わずかに彼の纏っていた気が揺らいだことがあった。毎度俺と会うたびに、ニコニコと張り付けた笑みで俺を疑う彼に一回だけ聞いたことがあるのだ。
「どうして、そんなに手がキレイなんですか？」
彼が本当にカリムさん率いるアジ―ム家の従者なはずなら、毎日、この広い領内を掃除するだろう。それに加えて毒見、カリムさんの身の世話。手はボロボロのはずだ。なのにジャミルさんの手には傷一つどころか、シミすらない。
彼の出身を馬鹿にする気はないが、これは俺からの軽い挑発だ。
今まで、ずっとキツイ従者の仕事をしてきた彼に対する挑発。
やはり、その言葉を言った途端彼の纏っていた気配がわずかに乱れた。そこで俺は確信する、彼はカリムさんに対して好意は持っていないということだ。
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レオ - とっても面白いです。続きが気になります。 (1月4日 8時) (
レス) @page48 id: 8c9a5c91e3 (このIDを非表示/違反報告)
夕闇柳 - たまたま30話見ていてカリムがカルムになっていました。 (11月25日 8時) (レス) @page31 id: a9dd4c9262 (このIDを非表示/違反報告)
ウイ(プロフ) - ふぎょあ、完結されてるんですね…この作品、めちゃ好きです。まだ占ツクにログインしてなかった頃、読みまくってました笑 ねっとり様に届くか分かりませんが、更新、お疲れ様でした。ほんとに本当にこの作品がこれからも大好きです！！！！！！ (6月26日 7時) (レス) @page48 id: 154e73901c (このIDを非表示/違反報告)
ねっとり - 雨中猫さん» アカウントを作っていなので急遽この形ですが作者です。コメントありがとうございます。「命に嫌われている」素敵ですよね、番外編でも他の歌とかも書いてみたいので気長に待ってくれると嬉しいです (2022年2月5日 23時) (レス) id: ad0790befa (このIDを非表示/違反報告)
雨中猫 - 主人公ちゃんに命に嫌われている歌ってもらいたいです！ (2022年2月4日 19時) (レス) @page27 id: 79b86edfa1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ねっとり | 作成日時：2022年1月20日 16時
