イナズマイレブン～脅威の侵略者編～第9巻 (ページ41)

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（４１９）思い込みは良くないページ41

瑩「…………」

途端、あからさまに瑩は何を思ったのか、舌打ち混じりの大きな溜息をついた。

円堂「な、なんですか？」

瑩「あなた、何をくだらない勘違いなさっているのですか？」

円堂「な、何がですか……？」

瑩「言っておきますけれど、私はこんな格好をしていますが生物学上は女ですから」

円堂「……へっ？」

唐突な事実を突きつけられ、円堂の声が裏返る。

聞けば、肩幅があるように見えるのは生まれつきらしく、顔も男装メイクをしていて、童顔な外見を他人から軽んじられないようにするためなのだと言う。

もっと言ってしまえば、彼女のビジネスシューズはシークレットブーツのような構造で、かかとが20cm分高いだけで本来の身長は165cmらしい。

円堂「なんか、すみません……」

瑩「謝るのであれば、最初から勝手判断で人や物を見ない事ですね」

円堂「うっ、……ごもっともです」

何も言い返せなくなる円堂を、瑩は的確に窘(たしな)める。

瑩「……ですが。私の説明不足も理由として挙げられるので、私があなたを一方的に責めるのも御門違いです。……申し訳、ございませんでした」

円堂「…………」

頭を深々と下げられて、円堂は唖然とする。

意外だったのだ。初対面の印象が冷酷で慇懃無礼だった分、余計に。

聖羅とリトには尊敬の念を向け慕い、他には無慈悲な対応をするこの男子、もとい女子は、根はいい人なのだと。

円堂「か、顔を上げてください。オレも、すみませんでした。外見だけで性別を判断するなんて浅はかでした」

瑩「……いえ」

聖羅「瑩(ミガキ)」

瑩「あっ……セイラ、さん。どうか、なさいましたか……？」

……やっぱり、さっきの警戒心剥き出しのドーベルマンのような印象から一転。

聖羅の前ではただ表情が乏しい、感性は豊かな背が高いだけの子犬のような反応をする。

瑩は、彼女の前でだけ大人しそうに振る舞っているという訳でもない。

少なくとも、聖羅のいる前でもあの慇懃無礼に見えるような態度を何度か取っているのを見る限り、聖羅も瑩のその一面は知っているのだろう。

聖羅「休憩。水、くれよ」

瑩「承知いたしました。クーラーボックスに冷えたものがありますので、取ってきます」

聖羅「おー」

タイミングがいいのか悪いのか、聖羅はそれらしい理由を付けて一時的に瑩に席を外させた。

今ならノートの話ができる……かな？