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体内の呪力を1ミリも乱さず静かな声で応えるAは、宿儺が放った言葉にただただ納得していた。
納得出来ていないのは周りの僕達だけ。
その空気を察したのか、彼女は僕達の方へ身体を向けて解説を始めた。
「うちの初代当主が、とても優秀な人間だったんです。あまりに優秀すぎて禁忌の術をいくつか編み出してしまって、道を違えて、宿儺が見たであろう忌み事を行ったんです。
それが原因で、藤沢家はお取り潰しになってしまった」
おそらく、実質上ということだろう。
今も細々と藤沢家が続いているのは、何か理由があるのだろう。
「私も真相は分かりません。家に残っていた当時の書物から読み漁って得た知識ばかりなので。
でも今も昔も上層部が私に目を付けているのは事実です。五条さんなら知ってますよね」
「…まあね」
今は何かしらの研究と言って呼び出されるポジション。
そして昔というのは、恐らく高専時代の話だ。
当時の僕は家柄が理由だなんて全く考えもしていなかったけど、成程。もしかしたら僕と婚約させたのも、藤沢の名前をこの世から消すためなのかもしれない。
「勘づいたかもしれませんが、初代当主が犯した禁忌は血を用いたものです。だから“忌み血”というのは割と正しい解釈」
「確かにそうであったな。なかなかに見物だったぞ。
だが何故今も藤沢は存在している?主は呪術師に殺されただろう」
「これから藤沢家に生まれてくる者全員に縛りを作って、それで上を納得させて家を続けさせた、と」
「縛り?どんなの?」
「言いませんよ…何も口外しないっていうのも縛りの内なので」
公開されている史実以外は何も言ってはいけないことになっているのだろう。
血筋の呪いか。これだから代々続くお家っていうのは面倒だ。僕も人の事言えないけど。
「…私の大して面白くもない自分語りはおしまい。じゃあ行くよ、悠仁、宿儺」
「は?」
「えっちょっと待ってAさん?!」
返事を待たずして、気を取り直したAは体躯のいい80キロの男子高校生を投げ飛ばした。そして息を着く間もなく恵と野薔薇にも技をかける。
全員若いね。アイツは僕と1つしか変わんないけど。
ハハッとその光景を見ていると、いつの間にか硝子がこっちに歩いてきていた。
その手にはもう缶が無い。飲み切ってしまったのだろう。
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ユシュケ(ユコ)(プロフ) - まめさん» ありがとうございます〜!すごくすごく久しぶりにまた更新しましたのでまた読んでやってください✩ (2022年12月20日 1時) (レス) @page48 id: cf63eb9bb2 (このIDを非表示/違反報告)
まめ(プロフ) - ずっとずっと待ってました!すごくすごく久しぶりに開いたら通知が来ていたので嬉しすぎました泣また頑張ってください!応援してますー! (2022年9月25日 21時) (レス) @page47 id: 3de5d823fb (このIDを非表示/違反報告)
ユシュケ(ユコ)(プロフ) - 妃さん» こちらこそありがとうございます!!時間が経ってしまいましたがまた読んでいただけると嬉しいです♡ (2022年9月4日 1時) (レス) id: cf63eb9bb2 (このIDを非表示/違反報告)
ユシュケ(ユコ)(プロフ) - chiaki0708さん» オリジナル要素多すぎて読みにくいかな…?と思っていたのでそれを聞けて嬉しいです!すこ~しずつまた更新していくのでよろしくお願いします! (2022年9月4日 1時) (レス) id: cf63eb9bb2 (このIDを非表示/違反報告)
ユシュケ(ユコ)(プロフ) - はるきちさん» ありがとうございます!ちょこちょこ再稼働し始めたのでまたよろしくお願いします…!! (2022年9月4日 1時) (レス) @page47 id: cf63eb9bb2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/oorsayui/
作成日時:2021年3月18日 11時