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Aside


午後の任務は私にとっては容易いもので、上の空になりながら呪霊を祓っていた。
昼間、宿儺に言われた言葉が頭を占めていたから。



「…“忌み血の巫女”か」



初代当主の過ちを知っている私は、それを否定出来なかった。
寧ろその呼び方に納得してしまったし、宿儺は自分でその惨劇を見たのだろう。
母も祖母も、またその母もずっと受け継いできたこの呪縛は、間違いなく私にも引き継がれている。

そして、その血筋を忌避しつつも利用しようとする上層部。そいつらの所為で起きたこの間の件。
あの時もし私が呪符を利用出来ていたら、あんなことにはならなかった。だから事故といえば事故だった。そう言っても無かったことになるわけが無いが。

何体も湧いていた呪霊はどれも私の等級よりも下で、直ぐに祓い終えた。数が多いというだけで1級任務になっていたようだ。



「お待たせしました。依頼書にあった呪霊は全て――― 」



離れていた所に止まっていた黒い車が見えると同時に、そこに居るはずの補助監督に掛けた声と、側へ進む足が止まった。
辺りに立ち込める鉄の臭い。その元は、多分その車。
周囲を警戒しながらそこへ辿り着く。



「っ…?!___さん?」



どさり。

運転席でハンドルに寄りかかっていた彼に声を掛けて肩に手を掛けると、その体は簡単に車外へ雪崩落ちた。
開かれたままの目に光は無く、胸部から流れたそれがどくどくと血溜まりを形成していく。

咄嗟に頭を過ぎる“死”。でも、まだ分からない。今から急いで高専に運べば、私には出来ないけど家入さんの反転術式なら、まだ助かるかもしれない。今すぐこの車に乗せて帰っても1時間位かかるけど、それでも。

無理矢理冷静になり脈を測るも、まだ体温のある彼の心臓は既に止まっていた。



「…呪霊の気配は無いし、全て私が祓ったはず」



車内が荒らされたり、補助監督が抵抗したりしたような様子はない。とすると、考えられるのは呪霊による呪殺。
この辺りに気配は無かった。半分思考はトんでいたけど、私も式神も気付かない筈がない。
なら、これは誰の手で。

事切れてしまった彼に上着をかけ、地面に横たわらせる。そして車内を見渡す。じっくりと、目を凝らして。
…見つけた。まだ新しいもの。



「………嘘だ」



見覚えがある、気がした。…違う。そんなわけが無い。

この補助監督は呪詛師の手で呪殺された。
犯人に心当たりは、ない。


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設定タグ:呪術廻戦 , 五条悟 , 夏油傑   
作品ジャンル:アニメ
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ユシュケ(ユコ)(プロフ) - まめさん» ありがとうございます〜!すごくすごく久しぶりにまた更新しましたのでまた読んでやってください✩ (2022年12月20日 1時) (レス) @page48 id: cf63eb9bb2 (このIDを非表示/違反報告)
まめ(プロフ) - ずっとずっと待ってました!すごくすごく久しぶりに開いたら通知が来ていたので嬉しすぎました泣また頑張ってください!応援してますー! (2022年9月25日 21時) (レス) @page47 id: 3de5d823fb (このIDを非表示/違反報告)
ユシュケ(ユコ)(プロフ) - 妃さん» こちらこそありがとうございます!!時間が経ってしまいましたがまた読んでいただけると嬉しいです♡ (2022年9月4日 1時) (レス) id: cf63eb9bb2 (このIDを非表示/違反報告)
ユシュケ(ユコ)(プロフ) - chiaki0708さん» オリジナル要素多すぎて読みにくいかな…?と思っていたのでそれを聞けて嬉しいです!すこ~しずつまた更新していくのでよろしくお願いします! (2022年9月4日 1時) (レス) id: cf63eb9bb2 (このIDを非表示/違反報告)
ユシュケ(ユコ)(プロフ) - はるきちさん» ありがとうございます!ちょこちょこ再稼働し始めたのでまたよろしくお願いします…!! (2022年9月4日 1時) (レス) @page47 id: cf63eb9bb2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/oorsayui/  
作成日時:2021年3月18日 11時

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