百五拾八、黙認 ページ8
.
まず私から、とヅラからの情報をそのまま流す
それを聞いた途端「やっと本格的に動けますね!」と少し嬉しそうに話す山崎と同じく、私も若干心躍る心地だった
やっと、一方的に因縁持ってた相手が見つかった
一世一代のチャンス
さっそく作戦を練ろうと書き物を手に取るほどの私の喜びだったが、
土「それは…無理だ」
その一言にかき消された
山「何でですか?!」
「そうよ。やっと掴んだ情報なのに」
土「無理なモンは無理だ。諦めろ」
懐から煙草を取り出して火をつけると、煙を大きく吐く
土「……………俺らの動きが上に知られた。それ以上動くな、だとよ」
「そんなっ…幕府黙認ってこと…?」
山「そんなのあんまりですよ!」
土「知るかよ」
俺らは所詮、アイツらの犬だ
私達に背を向けたまま握り拳を作る土方さんに、それ以上は何も反論出来なかった
得た情報や書類は資料館で厳重保管されることになり、持っていくのを私自ら買って出た
部屋に持ち帰りそれらの整理をしてると、またヅラからの連絡
桂『大体何を探ってるのかは見当がついてる』
「そう…で、何の電話なの」
桂『奴らのさっき入った情報だ』
「それなんだけど___ 」
まだ頭が理解しきれないなりに事情を話す
せっかく流してくれたのにごめん、と付け加えて
桂『………だろうな』
「分かってたの?」
桂『ああ、それを伝えようと思って電話したのだ。どうにも、幕府の現役人が一枚噛んだらしい』
「そういうこと…」
そりゃ黙認される訳だ
先手を打たれてしまった
けれど…こうなってしまったらしょうがない
桂『お前に聞きたいことがある』
「………何」
桂『田安を、殺す気でいたのか?』
「殺す、気」
殺してやりたいほどの強い憎しみ、つまりは殺意
私の内側にそれが無い、とは言えなかった
113人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ユコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/oorsayui/
作成日時:2018年3月27日 3時