髪をとかす ページ5
・髪をとかす
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メイクが終わり、家を出る前の最後の支度といえばヘアセット。
あとでヘアメイクさんにしてもらえばいいことだが、最低でも寝癖は直していくのが社会人としてのマナーだと思う。
しかし隣には寝癖がついたままの人がいた。私がメイクしてるときにドライヤーで直してたはず。
「賢ちゃんここ寝癖ついてる」
「ほんま？ どこ？」
後ろの旋毛の辺りを触る。
ここだけぴょんと跳ねている。
すると彼は何か期待しているような表情をして振り向いた。
「直してくれへん？」
「……しょーがないなあ」
私は満更でもない様子で寝癖直しを持ち、彼の髪の毛に触れた。
こういうのが母性本能を擽ぐられることをわかってやっているのだろうか。
そうだとしたらかなりの計画的犯行。
許すまじ、いや許す。
「えーなー、賢ちゃんはやってもらえてー」
「…………」
え、無視？ こんな近くにいて聞こえてないわけある？ 真後ろやで。
私はめげずにもう一回言ってみる。
「あーあー、私もやって欲しいなあー」
「何やって欲しいの？」
ああそう来たか。にやにやしとるし。
「……寝癖直して欲しい」
「しょーがないなあ」
なんやねん。このくだり。と思いつつもドライヤーで乾かして仕上げる。
場所を交代して今度は私の番。人にされるのはなんだかもどかしい。
彼は優しい手つきで髪をとかし、同じように直してくれる。しかしいつまでたっても触っていて終わる気配がないので聞いてみた。
「いつまで触ってんの」
彼は手ぐしをしながら、指先で髪をくるくるしたりして遊びながらこう言った。
「Aの髪の毛触るの好きやねん」
鏡越しに彼のにっこりしている目と合うと恥ずかしさで顔に熱が込み上げてきた。
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音ルナ(プロフ) - わああめっちゃ素敵です！！ひとつひとつ細かな日常を切り取った作品って初めてだし、どれもが柔らかくて暖かくて幸せですね…大好きです…これからも応援しています！！ (2020年3月17日 22時) (
レス) id: 97421d7234 (このIDを非表示/違反報告)
ますみ(プロフ) - 初めまして。読ませて頂きました。ほっこりしました。川西さんのファンなので嬉しかったです。これからも楽しみに読ませ頂きます。 (2020年3月13日 13時) (レス) id: de19f339a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Ebi | 作成日時：2020年3月13日 10時
