イイ子 ページ17
.
.
.
“イイ子”のわたしが一度だけ、酷く怒られたことがあった。
.
.
中１の頃。
塾もないのに遅く帰った日。
学校が終わってから何をしてたかはよく覚えてない。
公園に一人でいたのかもしれない。
友達なんていないから。
.
.
小六で、最難関中学を滑ったわたしは地元の並中に通うことになった。
毎日毎日、母親の｢塾の金が無駄になった｣ ｢あんたにいくら注ぎ込んだと思ってるの｣
って言われるのが嫌になったから。
うんざりしたから。
意気地のない箱入り娘のプチ家出だったのかもしれない。
.
.
そこからどうやって家に辿り着いたか、記憶は曖昧だ。
でも、お母さんに頬を叩かれて、｢恥じしらず!!｣と言われたことははっきりと脳裏に焼き付いている。
わたしは眼を見張った。
｢ただでさえ高い月謝払って中学落ちただけでも恥ずかしいのに!!｣
｢こんな時間までほっつきあるいて!!｣
｢他所の人から見たら笑われるよ!!｣
.
.
…………あぁ、そっか。
ご近所付き合いもある専業主婦の母は。
わたしの心配より
“世間体”ってやつが気になるんだ。
.
.
『中学落ちただけでも恥ずかしいのに』
.
.
わたしは色んな感情でぐちゃぐちゃで、ただ、声も出さずに涙をぼろぼろ溢した。
.
.
わたしなんかのことより、人様の目を気にする人。
｢自慢の娘よ〜｣
って、わたしを見世物みたいに、自分の道具みたいにする人。
.
.
世の母親達に聞きたい。
自分の意見を圧し殺し、両親の言いなりになる娘は羨ましいですか。
父親はそれなりにお金を稼いでくれて
お金にはあんまり不自由していない。
子供は言うほどデキナイコ、ではなくて。
ただ、家族みんな現状維持に精一杯で交わすのは最低限の会話のみ。
だから親子喧嘩も夫婦間の争いごともない。
形だけのカゾク。
そういった家系が理想ですか。
憧れますか。
.
.
――わたしは、嫌だなぁ……。
.
.
.
｢きゃっ！｣
その時。わたしの右手をぐいっと引っ張ったのは
さっきまでとは違う。
黒髪の男性じゃなくて。
｢お母……さん｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 145人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「リボーン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
白雪(プロフ) - 皆様コメントありがとうございます( *´艸`)続きが気になると言っていただけるのは本当に嬉しいです。100番目……！本当に感謝感謝です。本日続編をあっぷさせて頂きました！二巻でも宜しくお願い致します！ヾ(*´∀｀*)ﾉ (2015年11月20日 18時) (携帯から) (
レス) id: f5f566915a (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 評価の100番目ゲット！すごく面白いです！ (2015年11月17日 20時) (レス) id: b80ecf61a6 (このIDを非表示/違反報告)
雲雀 衿弥(プロフ) - いつも読んでました！続き、楽しみにしてますね、頑張ってください！ (2015年11月14日 23時) (レス) id: bdd1f8046c (このIDを非表示/違反報告)
怜弥(プロフ) - つ、続きが気になる展開です。そして夢主ちゃんの出してくる現実的ネタ面白いですw掛け持ち大変ですけど頑張ってください！←と言いながら掛け持ちしてる人 (2015年11月14日 20時) (レス) id: b52ead1178 (このIDを非表示/違反報告)
白雪(プロフ) - ひーちゃんめろんちゃんコメントありがと―！最近は返信が遅くなってしまい申し訳ないのですが毎度うえへへ(*´∀｀*)と読ませて頂いてます！怜弥様>>籠目唄からっ！面白いと言って頂けると救われます!!感謝感謝です( *´艸`) (2015年11月14日 19時) (携帯から) (レス) id: f5f566915a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：白雪 | 作成日時：2015年10月29日 19時
