大嫌い ページ37
×××
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｢あの、ほんとにいいんですか？｣
わたしは雲雀先生と一緒に教室ではなく、応接室に戻ってきていた。
始業のチャイムが鳴ったにもかかわらず。
つまりはさぼり。
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｢うん。君に聞きたいことがあったから｣
｢……さっきの？｣
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雲雀先生の無言を肯定ととり、わたしはふ、と息を吐いた。
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｢…………何ででしょうね｣
特に意味もなく天井を仰いだ。
青白い蛍光灯の光に無意識に目を細める。
｢あ―いうの、駄目なんです。なんか｣
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好きになるのに理由はいらない。
なんて言うけど。
いや、まぁ別にそれでもいいと思ってる。
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でも。
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｢たぶん、自己中なんですよね。わたし｣
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目を瞑れば、浮かんでくる。
蛍光灯なんかよりよっぽど眩しくて。
太陽みたいにぽかぽか暖かい、彼の姿が。
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でもそんな彼のせいで昔、わたしの胸にはぽっかりと穴が開いた。
昨日の過呼吸の原因でもある。
大きな大きな。穴。
少し前まで穴があったこと事態から目を剃らしていたのに。
『恋』という存在は否応なしに、その穴を、塞がりかけた傷を掘り返してくる。
…………つまり、端的に言えば大失恋によって空いてしまったモノだ。
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ちなむと、雲雀先生は恋とは別な形でわたしの傷を偶然抉った訳だけど。
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“それ”を塞いでくれるくらいの恋ならいい。
けど、さっきみたいなほんとに好きなのかどうかも分からないコイはイタイだけで。
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例えるならシンジロウ君はわたしの穴を必死に埋めようとざくざくざくざく、逆に掘り返していたようなもんだ。
あ―、いや、そこ何で掘るかな―。
それを見てわたしは
｢勝手なことしないでよ｣って冷たく言うんだ。
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勝手なのはわたしの方だって分かってる。
ねちねちねちねち過去に囚われて、シンジロウ君に失礼なことをしたのも知ってる。
それでも、
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心に出来た穴を埋める術も、それを取り繕う術も、わたしは持ち合わせていない。
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――――そして、こんな言い訳がましい理屈をつらつら並べる自分が
穴を彼の“せい”だなんて言っちゃう自分が。
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わたしは、大嫌いだ。
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白雪(プロフ) - 皆様コメントありがとうございます( *´艸`)続きが気になると言っていただけるのは本当に嬉しいです。100番目……！本当に感謝感謝です。本日続編をあっぷさせて頂きました！二巻でも宜しくお願い致します！ヾ(*´∀｀*)ﾉ (2015年11月20日 18時) (携帯から) (
レス) id: f5f566915a (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 評価の100番目ゲット！すごく面白いです！ (2015年11月17日 20時) (レス) id: b80ecf61a6 (このIDを非表示/違反報告)
雲雀 衿弥(プロフ) - いつも読んでました！続き、楽しみにしてますね、頑張ってください！ (2015年11月14日 23時) (レス) id: bdd1f8046c (このIDを非表示/違反報告)
怜弥(プロフ) - つ、続きが気になる展開です。そして夢主ちゃんの出してくる現実的ネタ面白いですw掛け持ち大変ですけど頑張ってください！←と言いながら掛け持ちしてる人 (2015年11月14日 20時) (レス) id: b52ead1178 (このIDを非表示/違反報告)
白雪(プロフ) - ひーちゃんめろんちゃんコメントありがと―！最近は返信が遅くなってしまい申し訳ないのですが毎度うえへへ(*´∀｀*)と読ませて頂いてます！怜弥様>>籠目唄からっ！面白いと言って頂けると救われます!!感謝感謝です( *´艸`) (2015年11月14日 19時) (携帯から) (レス) id: f5f566915a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白雪 | 作成日時：2015年10月29日 19時
