並中生徒会長、だった人の日常 (ページ10)

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最初からそう言えページ10

雲雀side

首を傾げるA。

「伝わらない？」

「周囲に伝わってない。」

「恭弥は？」

「伝わった。」

そう言うと、「そっか。」と満足そうに笑う。

それは僕の好きな笑顔のひとつ。

だから他のやつに見せて欲しくはないが、それだけ嬉しかったということで…我慢する。

「僕はご飯が食べたい。なのに周りがうるさくて迷惑。

…だから、もう誤解を解く方が早いと思った。」

「「「…誤解？」」」

Aの言葉はよく勘違いされる。
しかもそれはいつも悪化する形で。
別にコイツを助ける気は無い。

ただ、うるさい。

「一から十まで。説明。」

「牢に居た時、憑依する身体を探してた。今現在は不明。」

Aの言葉に周りの奴らが深いため息をつく。
それすらもうるさい。

「つーか最初からそう言えよ！」

「言ってたよ？」

「Aってば、意外と天然なのな。」

「極限に驚いたぞ！！」

首を傾げるA。

本人は間違ったことを言った自覚がない。
また、周囲に誤解されていると認識することもない。

だからこそ、厄介。

以前D・スペードの発言について注意していたが、当の本人…Aも人のことを言えないレベルだと断言できる。

「間違ったこと言ってたっけ…？」

「言ってました。」

「事実だよね？」

「そうですけど！！」

Aと話しているアイツが哀れに見えてきた。

勘違いの加速をいつも訂正するのは僕だ。

深いため息をつくと、ソイツがこっちを振り向く。

「まさか、貴方が助けてくれるとは思っていませんでしたよ……雲雀恭弥。」

「Aのやつは無自覚、尚且つ的確に勘違いするような発言をするからね…………流石に哀れに見えた。」

「グフゥッ…」

屈辱からか、膝を着く。
駆け寄ってくる者はいない。

いや、ひとりだけいるか。

「骸くん大丈夫？」

「これが、大丈夫に…見えますか…」

「え、うん。」

「全然大丈夫じゃないんですけど！？」

ほら、駆け寄ってきた。

Aは面倒なことに巻き込まれやすい。
けれど、面倒なことを巻き起こすのがAだったりする。

再び席につき、食事を始める。

うるさいものに蓋をして。