並中生徒会長、だった人の日常 (ページ6)

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墓穴、掘りましたページ6

その声の主を私は知っている。

全員の治療が丁度終わった、その瞬間を狙ったのか。
横目でフランくんを見ると、サラサラと砂となり消えていた。

うん、それが賢い行動だろうね………私を除けば。

当然のように首に手錠がかけられる。
そのまま引っ張られるから、せめて首に食い込まないように手錠の内側に手を滑らせる。

「……何してるの。」

「うーんと、防衛？」

「丸腰で？」

恭弥の手にはフィニとアルマがいた。
連れてきてくれたらしい。
フィニとアルマが心配していたと話すのが本当に可愛い。
これから起こることへの心の支えにしよう。

「それより来るなら連絡くれればいいのに。」

「連絡入れたよ。……メールで。」

「あー…………」

墓穴、掘りました。

ひっくい声でメールの部分を強調される。
何度目だろうか。携帯電話は、携帯するための電話だと教えこまれることを。

「やっぱり君は首に手錠をかけていないとダメな人間のようだ。」

「かけなくても大丈夫だと思うけど…？」

「丸腰で敵のところに行った奴がなにを言っても無駄だよ。」

「素手だよ？」と話すと、「…ソレ、昔から変わらないんだね。」と返される。解せぬ。

「あの状況、僕や術士以外ならやられてるよ。」

あの状況というのは、ネックレスやリングを持っていない状態での対応ということだろう。
術士は幻術、恭弥も戦闘用ではない咬み殺す用トンファーを常備しているからだろう。

…そういえば成長してから戦闘用と咬み殺す用のトンファー分けるようになるって、すごく優しく成長してる気がする。

そんなことを考えていると首の手錠を引っ張られた。

「そんな使い方してたら、初代雲の守護者泣くよ？」

「初代も風の守護者にこうやってたよ。アホ専用って。」

「初代の雲の守護者がこれやってたの？嘘でしょ…」

「僕が君に嘘をついたことは？」

「ないですね…ハイ。」

そして会社へ戻る車の中、とんでもなく不機嫌な恭弥に説教されるのであった。