並中生徒会長、だった人の日常 (ページ43)

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絶対にない。死んでもない。ありえない。ページ43

雲雀side

ヴェルデ。

たしかアルコバレーノのひとりで、科学者…だったと思う。
僕がその姿を見れたのは10分ほどだし、全快ではなかったから。

「風なら知ってるでしょ？今回の主催、実はヴェルデさんだろうし。」

「……わかっていたのですか。」

「なんとなく想像はつくかな。ヴェルデさん優しいし。」

「……」

あの見るからに性格が良くなさそうなアルコバレーノの技術以外を褒めるのは彼女ぐらいだろう。
このアルコバレーノが誤魔化すように笑うほどだ、余程悪いのだろう。

「ですが、彼も男性です。」

「一日中実験したり、話してたりだけど…？」

「それでもです。」

中々下がらないアルコバレーノに、彼女がゆっくりと話す。

「……ヴェルデさんと私に色気のある話を求めるのは、恭弥がボンゴレの人たちに笑顔で抱きついて仲間だ！っていうぐらい有り得ないよ？」

「絶対にない。死んでもない。ありえない。」

一瞬笑顔で抱きつくを想像しかけた時点で蕁麻疹が出そうだ。
その後は聞きたくない。

「なら、レストランの男は？」

「ヴェルデさんがコーディネート？髪の色とか目立つからーって。椅子に座ってひとりで食事すると、周囲の目が面倒だって。」

アルコバレーノではよくあるのか、テーブルの上でひとり頷く奴がいた。

それにしても、だ。
先日のレストランについてひとつひとつ聞く。

「なんであのレストランに行ったの。」

「昼食の後に夕食を仕込むんだけど、昼食も忘れて実験しちゃってて……めんどくさいし、ヴェルデさんの舌が肥えてたからあのレストランになったの。」

「へぇ…毎日手料理食べてたんだ。」

「家事全般とか請け負うのが私の役目だったからね。」

僕が怒っているのをわかった上でのこの話し方は流石彼女だと怒りを一周まわって関心すら覚える。

「今夜いいですかは？」

「初めて自分から実験したいって案が浮かんだから、今夜やらせてください。」

「服、もらったんじゃないの。」

「服は自分で買ったよ？オススメの場所は教えてもらって助かったけど。ヴェルデさんも大人だし、私も流石に意味ぐらいはわかるよ。」

「互いに…なに。」

「互いに利のある関係を築いているから問題ない。」

僕の質問に丁寧に、簡潔明瞭に答える。

「流石にこう…危なかったら恭弥の許可どころか、恭弥のとこに逃げるけど。絶対にありえないから。」

「…そ。」

結局彼女は最初から最後まで自分の最善策を作っていた。