並中生徒会長、だった人の日常 (ページ41)

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ひとつの賭けページ41

風side

ボンゴレ本部に作られた応接室。

元は並盛中学にあったものですが、彼はこれを作るよう沢田綱吉を脅したということも聞きました。

それほど大切な空間へ私は兎も角、空野Aを通すのですね。

両者共にテーブルを挟み、座る。
私はテーブルの上に座り、両者の仲を取り持つというものでした。

「では、空野Aから…今回の件の理由を教えてくれますか。」

空野Aは普段通りの態度で、怒りを露わにしているのは雲雀恭弥だけだった。
自身の中で折り目がついたのでしょう。

「元々不満はなかったんだけど…前に考え抜いた作戦があって。恭弥にもボンゴレにも利はあれども損は無いものだった。それを否定されて、終いには『失敗策』って言われたのが腹立って……」

「その場の勢い、ではないですよね。」

「うん。このまま私が抱えてたら効率悪くなるし、ダメだなって。多方面から考えないとって思って、離れたの。
万が一にでも、恭弥に酷いこと言いたくないし。」

「それだけの冷静さがあったのですね。」

「ないよ。あったらこんなことになってない。」

「……」

考え方として、空野Aはどちらかというとヴェルデに似ている。
また、知識も深いのでしょう。
『あの』ヴェルデが『科学者』と認めた程の者なのですから。
空野Aが頭がいいとはわかっていましたが、まさかここまでとは。

虹の代理戦争以来これといった接触はありませんが、興味は更に湧く。

それに対し、雲雀恭弥は黙ったままだった。
私が雲雀恭弥へ声をかける前に空野Aが話す。

「私は、簡単に言うと最善策を考え抜いたのに否定された。だから落ち着くために、離れた。
でもね、多方面から考えたけど、恭弥の否定するものは見つからなかった。ねえ、どこがダメだったの？」

それは雲雀恭弥に縋り付くように見えるが、本当はそうではない。
縋り付いてもいなければ、責めてもいない。
ただ、疑問に思っているだけ。
雲雀恭弥もそれを理解した上で、深いため息をつく。

「まず、第一に…君の最善策は僕の最善策じゃない。」

空野Aの様子を見るも、安定していた。
彼女はもう大丈夫でしょう。

問題は、雲雀恭弥の方ですね。

「というと？」

「確かに僕に利はあれども、損はない作戦だった。だけど、君はひとつの賭けをした。」

雲雀恭弥の瞳には怒りが灯ったままだった。