並中生徒会長、だった人の日常 (ページ40)

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約束してくれた声ページ40

あの日からまた数日経った。
これでようやく、私は自分の整理ができた。

もう、大丈夫。

「今日まで、本当にお世話になりました。ヴェルデさんのところでたくさん勉強できたのは一生忘れられません。」

「ほう…」

「いえ。天才科学者の元で勉強をするなど、いくらお金があろうとも不可能ですから。天才科学者と共に居られる時間はお金なんかじゃ足りませんし。」

「……まったく、毒気を抜かれて困る。」

一瞬嫌味かと勘違いされそうになったが、中身を理解したヴェルデさんは困ったように笑っていた。
これは困ってそうで、困ってない笑い方だ。

「これからマーレの守護者になろうとしているのかもしれんが、そう簡単にはいかんぞ。」

「み、見透かされてる…」

ヒントを与え、見透かせたのは自分でも、流石というか…やはり頭がいい。ヴェルデさんだから当然だとも言えるが。

「これからどこへ行くかはわからんが、風のところへ一度顔を出しておけ。お前たちのことを心配していたぞ。
なんのことかわからないがね。」

不器用な優しさがとても暖かい。

「ヴェルデさんの心配が、すごく嬉しくて…」

「……一度も口にしていないが。」

「ヴェルデさんが私を見ていてくださったように、私もヴェルデさんのことを見てたんです。わかりますよ。」

これ以上毒気が抜かれると不味いと思ったのか、最後の方はほぼ無理やり押し出された。
けれど、

「またな。」

あの優しい声だけは忘れない。

またと、約束してくれた声は。

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空野Aが居なくなった。

それは消えた、という意味ではなく、帰る場所が雲雀恭弥以外となったということに驚いた。
彼女ほどの実力者が消えることはまずない。

だが、帰る場所の変更ならは納得しました。
雲雀恭弥への不満ではありません。

ですが、彼女だって、人なのですから。

そう考えていると、リボーンからユニを通して渡された携帯電話が鳴る。
まだあまり慣れませんが、通話ボタンを押すと、珍しくヴェルデからのものだった。

曰く、今生の頼みで匿ってほしいと話してきた人がいると。

家事全般と、純度の高い炎などを用意するが、食事は無理やりとらされると。

助手ではなく、助手をとる気もないが、着眼点はいい『科学者』だと。

本人は気づいていないだろうが、そろそろ収まるべき場所へ帰す必要があるであろうと。

ヴェルデの心配により、用意された私が作ったという名の話し合いが始まった。