並中生徒会長、だった人の日常 (ページ37)

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男性が女性へ服を送る意味ページ37

綱吉side

前に、たまたま手に入った、超高級レストランのペアチケット。
京子ちゃんと行くのも考えたけど、勇気が出なかったから、どうせならと…ふたりの無自覚な恋の後押しとして渡したものだった。

そう、もの『だった』。

それがまさか、全く知らない男の人と使われているなんて思ってもいないだろう。
手足がスラリと長く、如何にもお上品というような人で。
背中だから男の人の顔は見えないけど、Aは…優しく微笑んでいた。

「10代目…これは……」

「…マジ、か……」

やっぱり京子ちゃんと来たいかも、と予約を取ろうとした時にたまたま目に入った。
オレは急いで山本と獄寺くんに連絡をしたが、来たふたりも驚いていた。

「もがっ！？もがもがもが！！！！」

「お、お兄さん落ち着いてください…バレたら大変なので、声を小さくお願いします……」

お兄さんは丁度ふたりを見つけて、着いてきたらしい。
お兄さんの口を塞いでいた手を離すと、お兄さんは大人しくなった。

「…これ、雲雀が見たら……ヤバくね？」

「……修羅場は避けられねえな…」

「シュラバとはなんだ？」

成人しても変わらないお兄さんに説明をする。

「えっと、修羅場っていうのは……ケンカよりも、ヤバいやつ…？」

「どうしようもできないぐらいやべぇやつだ。覚えとけ、芝生頭。」

「な、なにぃ！？タコヘッド！外へ出ろ！」

「まーまー。まずはこっちだろ？獄寺、会話ちょっと聞こえるか？」

山本がふたりを宥めて、獄寺くんに頼む。
渋々獄寺くんは聞いたことをそのまま話す。

「…今夜、いいですか…」

「「「なっ…！？」」」

Aの表情は、恥ずかしそうに男の人に話していた。

男の人から許可が貰えたのか、楽しそうに小さく微笑むA。

フリルのついた上品なワンピースを着こなすAは、どこから見てもお嬢様と言われても違和感はない。
それは男の人の方も…

獄寺くんの顔が赤くなる。
山本が声をかけると、獄寺くんが項垂れた。

「……この、服……ありがとう、ございます…」

「「……」」

「？」

この場でその意味をわからないのはお兄さんだけだろう。

男性が女性に服を送る意味。

それは…

その女性の服を、脱がせたい。

「「「……」」」

オレたちはもはやお兄さんに説明するほどの気力が残っていなかった。

「雲雀さんと、ふたりで行って欲しかったのに……」

それをつい、口から零してしまったのが悪かったのだろうか。